鳥取判決を力に強権的徴収とたたかう(下)
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鳥取県が差し押さえた児童手当の返還を求めた鳥取地裁での訴訟(09年9月提訴)は、3年6カ月を要しました。高橋敬幸弁護士を団長にした弁護団には、杉山尊生弁護士(2013年度に鳥取県弁護士会会長)が加わるなど、強力な援護体制を確立。浦野広明税理士から「県の処分は違法」とする鑑定書が提出され、原告を強力に後押ししました。
鳥取民商は他団体に呼びかけて「原告を支援する会」を結成。学習会で問題点を知らせ、支部を中心とした訪問活動でも裁判支援を訴えました。奥田清治民商会長は「税滞納は悪という自治体のキャンペーンに対し、差押禁止財産の趣旨を広めて回った」と運動を振り返ります。
3月29日、「勝訴」の垂れ幕を掲げ、喜びにわく民商の仲間に迎えられた瀧川さんは「不当な行政に歯止めをかけたいという思いでたたかった。全国によい影響が広がれば、裁判をやった意味がある」と話しました。全国から「控訴するな」のファクスやメールが鳥取県庁に届く中で、県は不当にも控訴。しかし、広島高裁松江支部は13年11月27日、「児童手当法の趣旨に反し違法である」と再び断罪し、勝利が確定しました。
広島高裁判決を受けて、総務省は14年1月24日、「(滞納処分は)滞納者の個別・具体的な実情を十分に把握した上で…」とする指示文書を地方自治体に送付しました。
平井伸治鳥取県知事は「原告におわび申し上げたい」と謝罪し、4月1日に県税の「滞納整理マニュアル」(表)を改善。これを受け、富山県高岡市もマニュアルを改定し、千葉県市原市では差し押さえた年金を返還するなど、鳥取のたたかいが、強権的徴収をはね返す運動に力を与えています。
全商連常任理事で税金対策部長の服部守延さんは「全国で命を奪うような不当な税徴収が発生している中で、自治体交渉などをすすめ、強権的徴収を改善させる運動が求められている。鳥取のたたかいの教訓をまとめた全商連運動資料集第62号も活用しながら、納税者の権利を守る法整備の確立に向けて運動を強める」と決意を述べています。(おわり)
全国商工新聞(2014年7月28日付) |