鳥取判決を力に強権的徴収とたたかう(中)
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鳥取県児童手当差し押さえ訴訟での勝利は、原告である鳥取民主商工会(民商)のTさんを先頭にした民商や地域の運動と全国商工団体連合会(全商連)、国会議員の連携が実を結んだものでした。
県税の滞納を理由に、預金口座に振り込まれた児童手当を鳥取県に差し押さえられたTさんが、鳥取民商に相談したのは2008年6月11日。差し押さえ当日でした。
本業の不動産業が成り立たず、妻も病弱で働けない状況にあり、5人の子どもを抱えたTさんは生活に困窮。相談に乗った鳥取県民主商工会連合会(県連)の事務局長は、児童手当を取り戻すことを提案し、その日に県と交渉しました。
その後も、県との交渉を重ねながら不服審査請求書を提出。08年10月1日の意見口頭陳述でTさんは「民商と出会って学んだ国税徴収法第153条の『生活を著しく窮迫させる恐れがあるときの滞納処分の執行停止』に該当するはずだ」と主張し、不当な差し押さえの撤回を求めました(09年3月19日に「却下および棄却」)。
全商連は、生存権を守るたたかいと位置付け運動を後押し。国会議員に「児童手当の差し押さえは違法」と要請し、09年4月17日に佐々木憲昭・日本共産党衆議院議員が財務金融委員会でこの問題を質問しました。
当時の与謝野馨財務相は「具体的に支給されたものが実際に使用できなくなるような状況にすることも、また禁止されていると解釈するのが正しい」と答弁。
鳥取民商では、この国会質問を力に、09年6月4日には4団体(県労連、新婦人県本部、民医連、民商・県連)から20人が参加して県総務部長と交渉。これを機に、「原告を支援する会」が結成されます。
与謝野大臣の答弁を活用した運動が広がり、山口・岩国民商では、岩国市が差し押さえた19万8000円の児童手当を返還させるなど、成果を挙げてきました。
09年6月22日には、仁比聡平・日本共産党参院議員が決算予算委員会で、国税徴収法に規定された納税緩和措置の適用を拒む地方税徴収の実態を踏まえて質問。佐藤勉総務大臣が「地方税においても基本的に国税徴収法に規定する滞納処分の例による」と回答しました。
全国の仲間が団結して、鳥取県の不当な徴収行政を追及する包囲網を築き上げ、運動を広げました。
(つづく)
全国商工新聞(2014年7月21日付) |