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  トップページ > 地域のページ > まちづくり > 全国商工新聞 第3055号 1月21日付
 
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行政が政策主導 環境保全へ企業に変革促す=全中連・欧州視察2

 ドイツは、東京電力福島第一原発事故を受け、その3カ月後には国内のすべての原発を2022年までに撤廃することを国会で決めました。
 こうした決断の背景には、フクシマ事故直後に首都ベルリンなどで行われた25万人の脱原発デモに見られるような1970年代からの反原発の運動、およそ10年前から強められてきた再生可能エネルギー開発の実績(約20%)がありました。
 今回の視察は、その政府や自治体の姿勢を学ぶこともポイントでした。

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屋根にソーラーパネルを取り付けたフライアムト村の農家

 環境の保全は経済にプラス
 ドイツ南部のバイエルン州環境省を訪ねました。環境と健康、そしてエネルギー転換を担当する省です。ここでは、法務部門担当のマティアス・ヴァイガント博士から「ドイツ連邦の再生可能エネルギーの到達点と課題」の講演を受けました。
 ドイツでは、環境保全が経済発展にとってもプラス効果をもたらすよう事業者・企業に対してマネジメントされています。
 そして経済と環境の調和のとれた発展をめざす市民参画型政策への転換が始まっています。
 法律を考えるときも「経済界と一緒に環境保全のためにはどういう法律が必要か」が検討され、そこでは95%を占める中小企業の役割が非常に重要と強調されました。私たちの「日本版・小企業憲章(案)」と共通する考え方です。

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バイエルン州環境省で行われたレクチャー

 悪くなる前に対策を立てる
 環境保護法の原理としては、(1)予防主義=前もって行動し悪い結果を引き起こさない(2)原因者主義=汚染した者が賠償や処理に責任を持つ(3)コーポレーション主義=共同してものごとを進めていくという3点が原則にされています。
 環境保護にはお金もかかり企業利益と衝突する可能性もあるだけに、強制ではなく合意と納得にもとづいて進め、必要な援助は行うという姿勢です。
 博士は「環境保全したために倒産した会社はない」「企業の自主性を促進することが重要」と強調しました。
 具体策として紹介されたのがEUの環境管理制度である「EMAS」(イーマス)です。企業自身が環境方針や達成基準等の目標を持ち認証を受けることによって税・手数料の優遇を受けることができます。ドイツで2000社が登録しています。登録不参加企業は最低基準が強制され、それに従うことになります。この制度の普及によって「企業には元々環境への責任がある」「環境保全が企業発展と両立」という自立型変革が広がっていると話されました。
 フクシマ事故以来、脱原発を急ぐ必要があることはドイツ全体の共通認識となっていますが、電力確保などをめぐって原発推進派の巻き返しなどもあるようです。その時、経済界サイドからの自主的な努力を社会的に評価し優遇することは、一つの有益な政策となりうるものです。

 国民の意思に沿う政治こそ
 前回紹介したオーストリアのギュッシング市でも、当時の市長の確固とした自然エネルギーへの転換の決断が、住民の参加と努力を引き出したものでした。
 そのオーストリアには、1978年に国内初の原発の稼働を国民投票で阻止し、その後、バイオマスや水力など自然エネルギーを追求してきた歴史があります。国民の意思に沿う政治こそがエネルギーの将来も切り開くことになります。
 (第3回に続く)

全国商工新聞(2013年1月21日付)
 
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