暮らしもまちも壊れる!?大阪都構想に商店街も自治会も「反対」
大阪のまちは誰がつくるのか―「大阪都構想」の是非を問う住民投票が5月17日に行われます。大阪市を解体し、権限と財源を大阪府が一手に吸い上げて、カジノなどの大型開発を狙う橋下徹市長。暮らしや商売に悩む庶民向けの施策は「二重行政」の名で削られます。「反対」が1票でも上回らなければ、解体・分割される大阪市。いま、商店街からも地域からも、そして若い人たちも「一人ひとりが声を上げよう」と行動を広げています。
目次
- 5月17日住民投票=投票用紙には「反対」と書きましょう
- 若者たちも“反対” SADL 栄裕矢さん
- 商店会総連盟も「反対」で行動
- 経済界から疑問の声=大阪経済人倶楽部セミナー
- 「二重行政」のゴマカシを斬る 立命館大学教授 森裕之さんに聞く
大阪の街は独裁政治を許さない
大阪商工団体連合会 会長 藤川隆広さん
大阪市は126年の歴史を誇る庶民がつくり上げてきた街です。
その街を、大阪の財政難の原因が大阪府・市による二重行政にあるからといって、まず大阪市をなくし五つの特別区に再編・分割しようというのが、大阪都構想です。
しかし「二重行政」が財政難の原因ではありません。
財政難を理由に、大阪市営地下鉄や上下水道施設など住民の足や生活と命に関わるものでもお金になるものなら何でも民間に売り飛ばそうというのが、都構想のもう一つの狙いです。
橋下市長の説明にはたくさんの矛盾があり、時間の経過とともに発言もクルクル変わっています。最初の市長選では「大阪市はなくさない」「24区はそのままにする」「高齢者の敬老パスはなくさない」といいました。今はどうですか。大阪市はなくす、敬老パスは有料化する―ペテンにかけられた思いです。
市民の願い実現ではなく、自分の目的を達成するために市長の権限をなりふりかまわず行使する。それは独裁政治そのものです。
そんな人が語る「大阪都構想」に未来はありません。大阪の財政再建や大阪経済の活性化を任せることはできません。大阪の街をつくるのは一人の首長ではありません。私たち大阪の庶民です。
若者たちも“反対” SADLメンバー 栄裕矢さん
大阪都構想反対を訴えるSADLのデモで声を上げる栄さん(2列目、右端)
SADL(サドル)は2月に結成された20代から30代の会社員、学生、業者などが集まったグループです。3月に入り「知っとかなヤバイ『大阪都』構想と住民投票」などの学習会や「大阪つぶすなドラムデモ」などに取り組んできました。
都構想は「よく分からない」けど、橋下さんだったら「大阪を変えてくれる」と漠然と考えている人もいます。でも橋下市長は大阪の歴史やまちづくりを大事にしていない。それに地下鉄など市民の財産を勝手に民営化しようとしている。都構想の決め方も民主主義的でないでしょう。やっぱりそれはおかしい、と僕は思う。
オヤジの喫茶店で働きながら、サドルの活動に関わっています。楽しいですよ。声を上げることが大事。だって、声を上げなかったら絶対後悔すると思うから。
商店会総連盟も「反対」で行動へ
大阪市内の商店街でつくる「大阪市商店会総連盟」は4月22日、常任理事会を開き、大阪都構想の是非を問う住民投票で反対していくことを確認しました。都構想に反対するポスターを商店街に配布したり、反対集会へ参加を呼び掛けたりする、といいます。
商店会総連盟には市内の318の商店街が加盟。店舗数は1万1000店を超え、全国でもトップクラスの商店街組織です。
経済界から疑問の声=大阪経済人倶楽部セミナー
大阪市を「廃市・分割」する大阪都構想を経済人として考えようと4月20日、「大阪経済人倶楽部」は市内で「第3回経済人セミナー」を開き、医師や弁護士、会社役員など、約80人が参加しました。
森裕之・立命館大政策科学部教授が「大阪市解体が大阪衰退を引き起こす」をテーマに講演。「都構想で年間4000億円の財政効果を生み出す」との“宣伝”について、大阪府が作成した資料をもとに「純粋な再編効果額は年間30億円程度に過ぎない」と、都構想のウソと欺瞞を批判。また、「大阪市解体」によって、都市機能はバラバラになり、「大阪全体の衰退を引き起こす」と強調しました。
「大阪経済人倶楽部」は13年11月、医師、税理士、弁護士などの個人事業主を中心に「大阪経済の長期低迷打破と閉そく感の打破を最大の目標」として結成されたもの(代表世話人、松元憲行株式会社東陽運輸代表取締役)。
設立趣意書では、「大阪経済の復権には…橋下市長が掲げる統治機構の改革や、例外的に高金利を認める金融特区、ギャンブルによる観光客誘致を図るカジノ特区の開設がそのきっかけになるでしょうか」「大阪都構想の実現が大阪を活性化し、企業実績も市民の暮らしも向上するでしょうか」と疑問を投げかけています。
同会世話人の一人は「都構想によって経済が活性化するとは、大半の事業主、企業人は思っていない。独裁的なやり方に声を上げづらかったが、企業として、事業主として都構想反対などの決議を上げるなどの行動をしようと検討している」と語りました。
全国商工新聞(2015年5月11日付) |