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確定申告のワンポイントアドバイス (11)申告書を提出したら
税務署の呼び出しは仲間に相談を
確定申告をした人は、2016年で約2169万人、その半数以上の約1258万人は還付申告となっています。所得税の実地の税務調査は2015年に約6.6万人ですから、実地調査の接触率は約0.3%に過ぎませんが、実地調査を行う相手は事業所得者が多いでしょうから、接触率の実感としてはもう少し高いものになります。
税務調査(表(4))ですが、国税通則法には「必要がある場合」にしか行えないとあります。ここはまず押さえておかなければなりません。網羅的に帳簿書類や原始記録を見せろという調査官もいるようですが、これでは何の「必要がある」のか分かりません。調査の必要性や目的を納得いくまで聞く必要があります。
次に行政指導(表の(1)、(2)、(3))です。突然税務署から送られてくる「お尋ね」や「お伺い」といわれるものの全てが行政指導に該当します。ここでは単なるお願いである場合と、税務署への呼び出しがある場合に分けて解説します。
単なるお願いの場合ですが、これに回答する義務はありません。行政指導は任意により行われるもので、これに従わなかったことを理由に不利益処分をしてはならないということになっています。お伺いやお尋ねといった文書が届いた場合には、すぐに回答せずに仲間に相談すると良いでしょう。期限が設けられている場合も、税務署の都合で目安を書いているだけですので、これにも従う必要はありません。
次に税務署への呼び出しがあった場合ですが、これは“ハイブリッド調査”といわれる、グレーゾーンの調査手法である場合がありますので注意が必要です。
呼び出しによる来署に応じた場合の調査には、最初に書いた事前通知などの行政手続きが省略される傾向にあります。来署すると、「税務調査に切り替える」と宣言されるからです。一般的には呼び出しの段階は行政指導であると考えられますから、電話などで、税務調査なのか行政指導なのかは明らかにさせておく必要があります。これもすぐに回答することは避けて、仲間に相談して冷静に対応してください。
最後に、税務調査が終わり確定申告の内容に訂正箇所があれば、修正申告をするか更正処分を受けるかのどちらかを選ぶことになります。国税庁の税務調査FAQでは修正申告の勧奨を断ったとしても、修正申告に比して不利益な更正処分はしないとあります。
税務調査の内容に納得いった場合のみ修正申告の勧奨に応じることにしてください。
全国商工新聞(2018年3月5日付) |