確定申告のワンポイントアドバイス (4)消費税申告の注意点
納税義務の判定に注意
消費税の納税義務の判定、つまり「消費税申告の要不要」については、消費税法の中でも改正が多い分かりにくい項目の一つです。基本的には、2年前の課税売上高を基準に判定します。
▽基本は2年前の課税売上高ですが…
消費税を申告する納税義務者に該当するか、しないかは(1)2年前(基準期間)の課税売上高(2)1年前の1月〜6月(特定期間)の課税売上高または支払給与の総額(3)課税事業者選択届出書が提出されているか―で判断します。図の例1、例2を参考に判定をしてください。注意点としては2年前、課税事業者であった場合は税抜き処理した金額が基準となり、免税事業者であった場合は、税抜き処理しない金額を課税売上高として判定します。仮に課税売上高が1080万円であった場合には、課税事業者だった場合は免税事業者であり、免税事業者だった場合は課税事業者になるという不合理な判定基準になっています。
なお、個人から法人成りした場合や相続により事業を承継した場合などでは、これら以外にも判定基準がありますのでご注意ください。
▽簡易課税が使えるか否か
簡易課税制度を使えるかどうかは、2年前の課税売上高が5000万円以下かどうかで判定します。5000万円以下で、「簡易課税制度選択届出書」が提出されている場合には簡易課税制度が適用できます。
簡易課税制度を選択した場合で、来年多額な設備投資を計画し、売り上げにかかる消費税よりも仕入れや経費にかかる消費税が多い場合など、還付を受けることはできないので、本則課税に戻す必要があります。
簡易課税制度をやめたい場合には、前年の12月31日までに「簡易課税制度選択不適用届出書」を税務署に提出しなければなりません。
▽消費税の届出書
消費税の各種届出については、適用制限や提出期限など分かりにくいため、よく注意してください。
前出の「選択届出書」については、対応する「不適用届出書」を提出するまで効力が続くので注意が必要です。
▽廃止すべき消費税
消費税が導入された当初は、免税事業者は、2年前の課税売り上げが3000万円以下という基準でした。簡易課税制度の判定も、同様に2億円以下でしたが、対象がどんどん切り崩されています。
国税の28年度の新規滞納額は6221億円ですが、そのうち3758億円、60%以上が消費税となっているように、中小業者には重くのしかかる「悪税」です。滞納が増えるということは、事業者の負担能力を超えて税金が課されているということですから、消費税はすぐさま廃止すべきです。
全国商工新聞(2018年1月15日付) |