記帳義務化 14年1月〜 自主記帳で対策強化
2014年1月からすべての中小業者に記帳・帳簿などの保存義務が課せられます。その対策として民主商工会(民商)が進めている自主記帳・自主計算活動は、帳面付けの基礎が学べ、経営の向上にもつながり、営業と暮らしを守る力となっています。自主記帳・自主計算活動の魅力と記帳義務化対策のポイントを紹介します。
記帳・経理 基礎から学び自信広がる=新潟
「帳面に自信がもてるようになった」と、新潟民商が進める自主記帳の学習会が好評です。同民商の支部のうち、北区と東区にある8支部は合同の「自主記帳学習会」を昨年から始め、今年は4月から6月にかけて計8回開催しました。来年1月からの記帳義務化に伴い、「自分で帳面を覚えたい」という会員の要求からスタート。毎回20人ほど、延べ142人が参加しています。
参加者の業種や申告形態は個人、法人さまざま。記帳がよく分からない人やほぼ自主記帳ができる会員など習熟度はぞれぞれですが、「基本から記帳が学べる」「集まってアドバイスし合い、納税者の権利意識も高め合える」ことが大きな魅力です。
週1回のペースで開き、毎回レジュメを用意(主な内容は表参照)。第1回から第6回は「白色申告と青色申告の違い」「白色申告の帳面付けの方法」「複式簿記の習得」などを共通テーマに学んでいます。7回目以降は、手書きで帳面を付ける人やパソコン記帳に取り組む会員など、実情に応じた学習内容にしています。
教え合って理解深める
自主記帳学習会は毎回、机ごとにグループを作ります。一つのグループには、これまで帳簿を付けたことのない事業主から、きっちり記帳している法人会員もいます。会計処理に不明な点をグループの仲間で教え合い、つながりが深まるように工夫しています。
新会員が多いのも特徴です。夫婦で参加している解体業の新会員は、「最初はよく分からなかったけれど、少しずつ記帳が理解できるようになってきた。きちんと覚えて商売に生かしたい」と喜んでいます。
自主記帳学習会に参加するまでは、レシートの整理すらできなかった塗装業の会員も「必要な帳面というものが分かった。これからもチャレンジしたい。自信を持って来年の申告に行けそう」と意欲を見せています。
記帳・経理 数字をつかみ経営改善=大阪・福島
大阪・福島民商のK夫婦は2002年11月、フランス食堂をオープンさせました。厳しい経済状況の中でも、経営を改善し、着実に売り上げを伸ばす力となったのは、民商で学んだ自主記帳・自主計算でした。
開業当初から青色申告(個人)をしていましたが、自主記帳の大切さを深く理解していませんでした。消費税の免税点が引き下げられ、05年から課税業者となり、重い税負担がのしかかりました。
収益伸ばし経営を改善
そんなとき、婦人部の集まりに妻が参加。厳しい生活や営業の状態を話すと、仲間からは「自主記帳・自主計算をして経営を数字でつかむことが大切だよ」とアドバイスを受けました。
K夫妻は「店の数字を詳しく把握しなければ、来月の支払いも計画できないし不安」「店も続けられないのでは」と考えを改め、自主記帳・自主計算で経営を改善させた弁当店を紹介した商工新聞の記事を読み、「私たちの経営も良くしたい」と決意しました。
その後、妻は婦人部の同業者の仲間に、記帳方法や経営改善のアイデアを教えてもらい、民商の記帳学習会にも参加して学びました。
自主記帳・自主計算を続けることで「店の数字」が理解できるようになり、自ら足を運んで安く新鮮な食材を仕入れるなど工夫して新しいメニューをつくることができました。
売り上げを伸ばし、資金繰りもうまくいくようになった片岡夫妻は「自主記帳・自主計算で経営を改善でき、お客さまに喜んでもらえる店に変えることができた。民商の仲間のおかげ」と喜んでいます。
全国商工新聞(2013年8月19日付) |