大阪市は11月から、要介護者の税制上の障害者控除の認定にかかわる「障害者控除対象者認定書」の発行を「申請時点」から「過去5年間」に拡大するとともに、認知症高齢者の認定基準を大幅に緩和しました。税金などの負担軽減に大きく道を開くもので、全国の運動にも活用できる大きな成果です。
この改定により、認定書をさかのぼって取得することで、すでに確定申告し納税した人でも、障害者控除を取得する「更正の請求」をおこない、最大5年分の所得税、住民税、国保料、介護保険料などを還付させることができます。また、新たに認定を受けることで、所得税・住民税を引き下げることができ、年所得が125万円までであれば住民税が非課税になり、介護保険料や入所施設の利用者負担等が下がります。
大阪市内の民主商工会(民商)も加盟する社会保障推進協議会など市民の運動が実ったもの。共産党の北山良三市議が3月の議会質問で当局に迫ったことが大きな力になりました。
北山市議は3月5日、民生保健委員会で市当局に、共産党の佐々木憲昭衆院議員の国会質問に対する厚生労働省の答弁(注)を示し、「障害者控除の対象者認定は、その確認ができれば認定日を最大5年前までさかのぼって認定することができるはず。大阪市として厚生労働省に照会せよ」と迫りました。市の担当課長は検討を約束し、今回の交付事務の変更に道を開きました。
同時に、認知症高齢者の認定基準も緩和。聞き取り調査が必要とされていた日常生活自立度3a以上を「特別障害者」に、認定対象外だった同2の場合も「障害者」として認定することになりました。
今回の改定内容は「市政だより」「くらしの便利帳」に掲載されました。
大阪市で要介護者の障害者控除の認定者数は05年117件、06年510件にすぎません。民商では、大阪市は要介護1〜2で4万2611人、要介護3〜5は3万3542人もおり、大いに宣伝して知らせようと話し合っています。
(注)2月28日、衆議院財政金融委員会で共産党の佐々木憲昭議員の質問に対し、厚生労働省の中村吉夫障害福祉部長は「市町村等において、何らかの資料によりまして障害者控除の対象となる障害者に準ずる者であることの確認ができれば、それが5年前からのものであっても対象として認定しているものと承知している」と答弁。
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