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  トップページ > 税金のページ > 徴税攻勢 > 全国商工新聞 第3321号7月23日付
相談は民商へ
 
 
税金 徴税攻勢
 

社会保険料の延滞金納付 年金事務所が先日付小切手を強要=静岡・藤枝民商

国会答弁示して
 社会保険料の延滞金に対して島田年金事務所から「先日付小切手」の振り出しを強要された静岡・藤枝民主商工会(民商)の岡田隆さん(仮名)=土木=は民商の仲間と抗議し、6月20日、「先日付小切手」を取り戻しました。「納付が困難と相談しても、何のアドバイスもなく、いくら払えるのかと言うばかり。年金事務所はもっと親身に相談に乗ってほしい」と話しています。
 岡田さんは20年ほど前から売り上げが減少し、期日どおりに社会保険料が払えなくなりました。滞納額は一時、延滞金を含めて500万円を超えていましたが、分納を続けて3年前に保険料を完納しました。
 その後、年金事務所は130万円の延滞金の納付を迫り、5月中旬、一人で納付相談に行った岡田さんに対して、6月から8月まで15万円ずつの「先日付小切手」を振り出させました。
 岡田さんは民商に相談し、6月上旬、事務局員と一緒に島田年金事務所へ出向き、帳簿書類の写しを提出して納付が困難であるとあらためて説明。担当者は「一人では判断できない。検討して後日、連絡する」と答えました。
 翌日、島田年金事務所の担当者から電話がありましたが、提出した書類に対する質問や内容確認は一切なく、いきなり「いくら払えますか?」と迫りました。「納付が困難と説明したのに、昨日の相談は何だったのか。本当に書類は見てくれたのか」と岡田さんは怒りが湧きました。
 6月中旬、島田年金事務所を再訪問。岡田さんが知らないことにつけ込んで「先日付小切手」をいかにも自発的に振り出したかのように仕向けていたことが分かり、国税庁が「先日付小切手を強制的に振り出させない」(2005年5月17日衆院財務金融委員会)と答弁していることを示して強く抗議しました。
 ところが、担当者は何の反省もなく「うちはうちで回収します」と平然と答えたため、岡田さんと事務局員は再度、抗議。国税徴収法に準じて対応することや、公的機関・立場にある自覚・認識を持つこと(日本年金機構ホームページ基本情報の業務内容から)、お客さまの立場に立ち誠意ある対応を約束した10カ条に基づくことを求めました。
 年金事務所は6月分の「先日付小切手」を返還しました。岡田さんは引き続き、7月、8月分の「先日付小切手」の返還とともに「滞納処分の執行停止」を求めることにしています。

先日付小切手とは
 小切手を切るときに、振出日をその日より先の日付にした小切手を先日付小切手といいます。
 小切手の呈示期間は記載された振出日から10日以内(小切手法29条1項)ですが、振出日付前でも小切手の提示があれば、振出人は支払わなければなりません。その時に当座預金に残高が不足していれば不渡りとなり、倒産に追い込まれる危険性があります。
 2005年5月17日、当時の佐々木憲昭衆院議員(共産)が、国税の滞納を余儀なくされた中小業者が分納相談に行った際に税務署が先日付小切手の提出を、事実上強要している問題を衆院財務金融委員会で取り上げて国税庁の姿勢を追及しました。
 国税庁の村上善堂次長(当時)は「小切手を強制的に振り出させることはない」「資金繰りが苦しくなった場合には、銀行からその小切手を取り戻し、納税者に返して、再度納付計画を立て直すという形で運営している」「滞納整理は、納税者の実情に十分配慮し事務運営を行う」と答弁しています。

全国商工新聞(2018年7月23日付)
 

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