国保税、市民税の滞納 機構移管やめさせる=茨城・土浦民商
「事業再建させたい」
国民健康保険(国保)税や市民税が滞り、茨城県租税管理機構(機構、別項)への移管予告と生命保険の差し押えが通知された田中真一さん(仮名)=看板=は土浦民主商工会(民商)に相談。6日に、小美玉市と交渉して機構への移管を食い止めました。民商に入会した田中さんは「事業や生活を再建させるため、新たなスタートを切りたい」と話しています。
インターネットで茨城県商工団体連合会(県連)を知った田中さんは5日、妻と一緒に土浦民商を訪ねて相談しました。
2013年ごろから仕事の売り上げが減少し、国保税や市民税が期日どおりに払えなくなり、滞納額が延滞金を含めて240万円(本税173万円)ほどになってしまいました。
今年になっても17万円を払っていましたが、小美玉市は5月25日付で機構への「移管予告書」と生命保険の「差押調書」を送付。驚いた田中さん夫婦は市の収納課へ出向きましたが、担当者は話を聞こうとせず「悪質」と言い放ち、6月8日までに納付しなければ、機構に送ると通告されていました。
民商の仲間から納税緩和制度があることや、税金よりも生きる権利が優先されることなどを学び、気力を取り戻した田中さんは翌6日、県連の綿引悦朗事務局長や土浦民商の高橋孝会長と一緒に収納課と交渉。直近4カ月の家計収支を明らかにして納税の意思をあらためて示し、2年間で本税を納付することを伝えると、「半年間、約束通り納税すれば移管は行わない」と約束しました。
これまで田中さんは税務署で確定申告を相談していましたが、必要経費や保険料の控除などが不十分だったために所得が多く計算されていたことが分かり、更正手続き(税金の減額)を行うことにしています。
強権徴収相次ぐ
茨城県の機構は地方税の「滞納整理」を目的に設立され、2001年度から業務を開始しました。
市町村が徴収する地方税で、回収困難なものが機構に移管されます。機構は住民に高圧的な態度で取り立てや財産の差し押さえ、公売などを容赦なく強行しています。
2015年1月には徴税攻勢を受けた男性が、「納税は国民の義務だが、今の重い税負担は政治の責任」「税金を払うだけの人生はむなしい」という遺書を残して自殺しました。
茨城県連は機構の不当性を告発し、納税者の権利と命を守る「茨城滞納処分対策会議」(仮称)を発足する方針です。
全国商工新聞(2018年6月25日付) |