工場の差し押さえ解除 粘り強く交渉し=静岡・藤枝民商
静岡・藤枝民主商工会(民商)の川崎幸次さん(仮名)=製造=は先ごろ、民商の仲間と一緒に藤枝市と粘り強く交渉し、工場の差し押さえを解除することができました。「本当に良かった。一人では乗り越えられなかった。民商の仲間に感謝、これで安心して仕事に打ち込むことができる」と喜んでいます。
川崎さんは10年ほど前に父親を亡くし、事業を引き継いだ母親と一緒に仕事をしていました。しかし業績は悪化し、赤字経営が続きました。3年ほど前、母親に代わって川崎さんが経営に携わるようになってから、銀行から借り入れと、固定資産税が1000万円以上滞り、2013年2月に工場が差し押さえられていることが分かりました。
母親に話を聞くと、業績悪化に伴って固定資産税が支払えなくなり、なけなしの年金から3000円を持参した時に「こんな少額のお金を持って来られても困る」と厳しい口調で言われ、市役所に行くのが怖くなり、相談ができないうちに工場を差し押えられたことを打ち明けられました。
妻と一緒に民商に出向いて対策を相談。自主記帳・自主計算の大切さを学んだ川崎さん夫妻は「経営を立て直して会社と従業員を守ろう」と決意しました。
妻が帳簿を担当し、川崎さんは営業に力を入れて取引先を回って受注を増やした結果、会社の業績を飛躍的に改善させ、2017年7月に固定資産税本税を全額納税しました。しかし、滞納期間が長かったため、延滞金は1000万円を超え、とても一括で納税できる金額ではありませんでした。
また、長く大事に使っていた機械が壊れ、トラックも購入しなければならない状況でしたが、工場を差し押えられていることから借り入れができずに困っていました。
川崎さん夫婦は7月13日、事務局員と一緒に市役所に出向いて「工場の差し押さえを解除して、延滞金を減免してほしい」と訴えましたが、担当者は応じようとしませんでした。
川崎さんはその後もあきらめずに民商の仲間と粘り強く交渉。民商では昨年11月に行った対市交渉でもこの問題を取り上げ、今年1月29日付けで「参加差押解除通知書」が届き、工場の差し押さえが解除されました。
川崎さんに届いた「参加差押解除通知書」
全国商工新聞(2018年4月23日付) |