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総務省、住民税通知にマイナンバー記載中止
民商・全商連の運動実る
総務省は12月15日、「住民税特別徴収税額決定通知書」(決定通知書)に当面、マイナンバー(個人番号)を記載しないことを自治体に通知しました。民商・全商連はこの間、番号漏えいの危険性などを指摘し、決定通知書に番号記載しないことを求め、国会でも取り上げられていました。総務省が方針を転換したのは、こうした運動が反映したものです。
総務省が通知したのは「特別徴収税額通知(特別徴収義務者用)マイナンバー記載の一部見直しについて」(事務連絡)。平成30(2018)年与党税制改正大綱で決定通知書へのマイナンバー記載の取り扱いを一部見直す方針が示されたとして、書面による送付は当面、個人番号の記載を行わないこととするとしています。
事業主の「マイナンバー(法人番号を含む)についても同様の扱いにし、番号欄を設けた省令様式(第3号様式)は行わないとしています。
「決定通知書」は毎年5月に事業所に送られるもので、総務省は2017年度から様式を変更し、番号記載を自治体に指導してきました。
名古屋市をはじめ東京23区内では番号不記載が広がり、全商連の調査では一部不記載、不記載、アスタリスク表示の自治体が15.74%を占めていました(全自治体のうち1130自治体の状況を集計)。しかし、一方で、番号不記載を決めていたものの総務省の指導を受け、やむなく決定通知書に番号を記載して事業所に送付した自治体もありました。
その結果、17年度上半期に個人番号の漏えいが273件発生し、66件だった前年同時期の4倍超に上ることが判明(個人情報保護委員会発表)。そのうち過半数の152件が決定通知書の誤送付等が原因によるもので、自治体に番号記載を指導してきた総務省の責任が問われていました。
民商・全商連はこの間、「番号漏えいの危険性がある」「番号を提出していない従業員のプライバシー権を侵害する」などの問題を指摘し、総務省や自治体に決定通知書への番号を記載しないことを要求していました。
国会でも田村智子参院議員や梅村さえこ衆院議員(当時)らが問題を取り上げ、自治体に番号記載をごり押ししないことを求めていました。
自治体も不記載表明 「事務連絡」で要請
決定通知書の対応について前橋市に申し入れる前橋民商の大野会長(右)
群馬県商工団体連合会(県連)は総務省が通知した「事務連絡」(12月15日付)に従い、住民税特別徴収税額決定通知書に番号を記載しないよう自治体に申し入れる活動を進めています。
東毛民商は12月22日、常見和美副会長と渡辺生夫事務局長がみどり市に出向き、通知を示して「来年度以降の対応をどうするのか」と追及したところ「総務省の通知のとおり、番号を記載しない」ことを明らかにしました。
前橋民商は12月25日、前橋市に対して大野豊文会長と店橋厚事務局長が申し入れ、担当者は「総務省の指示通りにする」と答えました。2017年度の対応をただしたところ、決定通知書を簡易書留で送付したため、1000万円の費用がかかったことを明らかにしました。
高崎民商は同日、萩原誠副会長や米山康男副会長ら4人が高崎市に申し入れました。市は国に対して直接の批判はしなかったものの、方針転換に戸惑いを見せていました。
群馬県内の自治体は当初、番号漏えいなどを懸念して全35自治体が決定通知書に番号を記載せずに送付することで足並みをそろえていました。しかし、総務省が番号を記載するように指導したため、15自治体が番号を記載して送付していました。
県連からの要請に応え、12月27日までに3市2町1村で「番号記載しない」ことを確認しています。
全国商工新聞(2018年1月15日付)
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