申請型換価の猶予 96%が認定
積極的な活用呼び掛け
所得税や消費税など国税が一括で納められない時に活用できる申請型「換価の猶予」の申請と認定件数が明らかになりました(2016年7月〜2017年6月まで)。参院の倉林明子議員(共産)を通じて国税庁が公表したものです(表)。
全国的には3万6609件の申請に対して3万5179件が許可され、許可率は96%を超え、申請すれば、ほぼ認められている状況です。
従来の「換価の猶予」制度は税務署長の職権によるもので、許可件数は全国で5743件(2013年)程度でした。
2014年4月から消費税の税率が8%に引き上げられると新規滞納が急増。申請型「換価の猶予」制度は、滞納が増えることを見越して創設されたものです。
2015(平成27)年度は2万4846件が許可されていました。今回公表された許可件数は15年度より1万件以上増えています。
許可件数が最も多いのは東京国税局で1万件を突破し、最も許可が少ないのは沖縄国税事務所です。金沢国税局は申請件数より許可件数の方が多くなっていますが、2016年7月以前に提出していた申請が許可されたためです。消費税が8%に増税されてから、「一括で納付できない」などの声が上がり、滞納も増えていることから各地の民主商工会(民商)は申請型「換価の猶予」の活用を呼び掛けています。税金が一度に払えないときは最寄りの民商に相談してください。
分納認められ延滞税1.7%に 申請型換価の猶予
(1)納税の誠意が認められる(2)一時に納付することにより事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがある場合、財産の換価を1年間(最長2年)猶予することができる分納制度です。
「申請型」換価の猶予は納期限から6カ月以内の申請が必要です。申請型「換価の猶予」が認められれば、猶予期間内に分納することが可能になり、延滞税も1.7%に下がるなど、負担が軽くなります。
申請する時は「一時に納付すると事業または生活の継続・維持を困難となる」事情の詳細、納付困難な金額、猶予を受けようとする期間、分納計画など記載した申請書に財産目録などの書類を税務署長に提出します。
納期限から6カ月を超える期間の滞納がある場合は、従来の税務署長による職権型「換価の猶予」を適用させることが必要になります。
全国商工新聞(2017年11月20日付) |