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  トップページ > 税金のページ > 徴税攻勢 > 全国商工新聞 第3286号10月30日付
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「マイナポータル」とは=原田 富弘さん

利便性の“向上”に疑問 悪用や流出の危険増す
 マイナンバー(個人番号)漏えいの懸念と反対運動が広がり、マイナンバーカードの交付率は10%にも満たない状況です。総務省は「マイナポータル」の本格運用開始を理由に「マイナンバーカード取得促進キャンペーン」を11月に開始することを自治体に通知しています。マイナポータルとは何か、どんな狙いや問題点があるのか、「共通番号いらないネット」の原田富弘さんが解説します。

トラブルが続き
 政府のマイナンバーカードの取得促進策の中で、特に普及を求めているのがマイナポータルの活用だ。マイナポータルはインターネット上の個人サイトで、利用にはマイナンバーカードの取得が必要だ。パソコンにソフトをダウンロードして開設を設定し、カードをカードリーダーにかざしてパスワードを入れると利用可能になる。しかし利用登録が始まった今年1月には、プログラムに脆弱性が見つかり再インストールを求める事態も起きた。設定はパソコンに慣れた人でも大変で、3月には総務大臣がユーザー目線に立った見直しを指示し7月の利用開始は大幅に遅れ現在もソフトを開発中だ。

利用拡大に躍起
 本来はマイナンバー制度によるプライバシー侵害に対する個人情報保護措置の一つで、行政が管理する特定個人情報(マイナンバーが付いた個人情報)を自分で確認したり情報提供の記録を確認する「情報提供等記録開示システム」として、番号法で設置が決まっていた。しかし現在は民間利用を含めた利用拡大に躍起になっており、趣旨が変わっている。なお自分の特定個人情報や情報提供記録の確認は、個人情報保護法や条例による開示請求によって可能でありマイナポータルの利用は不要だ。
 マイナポータルで電子申請ができると聞くと便利になるように感じるが、代わりに文書の郵送や窓口を削減する行政効率化が国の狙いだ。パソコンを利用できない人は「情報過疎」に置かれ不便になる(デジタルデバイド)。またマイナポータルを使うと行政の保有する膨大なプライバシー情報が閲覧可能になり、マイナンバーカードをパスワードとともに紛失すると他人が成りすまして閲覧する危険がある。政府の担当者も「自分の情報を全部見ることができてしまうというのは極めて危険度が高い」と述べていた。国会審議では詐欺目的で高齢者宅を訪問して、言葉巧みに代わりにパソコンを操作する危険性も指摘された。デジタルデバイド対策として任意代理人の操作も認めており、その悪用防止も課題だ。

準備間に合わず
 政府はマイナポータル利用の目玉として子育てワンストップサービスを宣伝しているが、マニュアルを自治体に示したのは昨年暮れだ。自治体の準備は間に合わず、現在は各自治体の子育て施策を検索できる程度だ。今後電子申請ができるというが自治体により予定はさまざまで、そもそも別途書類の送付が必要な事務もあり、保育園入園申請など面談しながら手続きしている自治体も多い。国も電子申請で面談の予約ができると宣伝している状態で、何が利便性向上か疑問だ。その一方でベネッセの漏えい事件などのように、子どもの個人情報は狙われやすく利用には注意が必要だ。
 さらに番号法では警察や公安機関への特定個人情報の提供も認めており、警察等がマイナポータルを利用して個人情報を調べることができないシステムになっているか検証も必要だ。共通番号いらないネットでは「書かない番号、持たないカード」を掲げて、マイナポータルを利用しないことを呼び掛けている。

全国商工新聞(2017年10月30日付)
 

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