税務署の「おたずね」「呼び出し」に注意!
任意調査の限界を超える 事前通知避ける脱法行為
改正国税通則法によって調査手続きが煩雑になり、事務量が増える中で実地調査の件数は減少しています。国税庁は納税者との接触を強めようと、申告内容についての「おたずね文書」を送付。納税者を税務署に呼び出して、事前通知をしないまま税務署内での調査を強めています。
「呼び出しに応じなくてもいいのか」との全商連の追及に対して国税庁は「(呼び出し)は断れるし、断っても不利益はない」と答える一方で「ただし、実地調査になる可能性がある」ことを示しました(2015年2月13日)。
また、東京国税局管内では「おたずね文書」に回答しなかった納税者に対して、「調査について」の文書を送り、必要な書類と日時を指定して税務署に呼び出す「来署型調査」の動きを強めています。
この問題について小田川豊作税理士は「『おたずね』文書は行政指導ですから、指導に応じなくても不利益はありません。一方、『調査をします』と明記した文書は、調査を通知した行政処分です。法的には裏付けのない任意の文書ですが、納税者に日時を指定し、帳簿類の持参を迫って税務署という特定の場所に出頭を強制するものになっています。これは任意調査の範囲を超え、事前通知を意図的に避ける脱法行為です。任意文書で来署を強制し、事前通知を回避するという二重の違法性がある」と指摘しています。
文書がきたら民商に相談を
東京・王子税務署は北区民商の追及に対して「おたずね文書の回答がないことで直ちに調査を行うものではない。ただし、おたずね文書に回答がなく納税義務が確認できないことを総合的に勘案し、結果としておたずね文書の未回答者が調査になる場合もある」との見解を示しています。
「おたずね文書」や「調査について」の文書が届いたときは、最寄りの民商に相談してください。
全国商工新聞(2017年10月2日付) |