来署型調査迫る文書 抗議し是正求める=東京都・北区民商など
「お尋ね」文書の未回答者に送付
王子税務署が「お尋ね」文書未回答者に送付している「調査について」の文書
東京・王子税務署が「消費税及び地方消費税の調査について」の文書を送り付けている問題で、北区民主商工会(民商)は先ごろ、東京土建一般労働組合(東京土建)北支部と一緒に税務署と交渉しました。
同税務署は「消費税の確定申告書の提出状況についてのお尋ね」文書を発送し、未回答の事業者に対して再度、「調査について」の文書を送り、調査日時を指定。資料を持参して来署することを求めています。初めて文書を受け取った民商会員や土建組合員から「来署しなければいけないのか」「来署しなかったらどうなるのか」など疑問や不安の声が上がり、交渉したものです。
文書送付の目的について署員は「通常行う調査とは別の机上調査となり、来署をお願いしている」「実地調査と違い法定上事前通知は求められていないが、運用上の対応として対象税目、期間、必要書類等を示した」と答えました。
「不特定多数に送付されているが、調査対象は」の質問には「消費税課税事業者届出書を提出しているのに申告書を提出していない納税者や、基準期間の課税売上高が1000万円を超えると見込まれる納税者が対象。確定申告書に収入金額が未記載の場合は納税義務の確認が必要になり、文書を送付する場合がある」と回答。併せて「お尋ね文書の未回答者に『調査について』の文書を送った」ことを明らかにしました。
「行政文書の未回答者に不利益になる調査は行わないと回答している王子税務署や国税庁、東京国税局の見解に反するではないか」と追及したところ、答弁不能に陥りました。
後日、税務署は「指定した期日が過ぎれば来署は求めない。お尋ね文書の回答がなかったことで直ちに調査を行うものではない。ただし、お尋ね文書に回答がなく納税義務が確認できないことを総合的に勘案し、結果としてお尋ね文書の未回答者に対し、調査を実施することになる場合もある」と口頭で回答してきました。
民商では 不当な調査を実施させないため引き続き、税務署と交渉し、納税者の権利を守ろうと話し合っています。
来署型調査が増加 納税者と接触増やす
「改正」国税通則法により、調査手続きが法制化され、事務量などが増える一方で調査件数が大幅に減りました。国税当局は納税者との接触を増やすために新たに来署型調査や机上調査、着眼調査など「実地調査以外の調査」を行い、特に来署型調査は増加傾向にあります。東京国税局は来署型調査の活用について試行署を指定し、実績が上がったことから全署で来署型調査を拡大し、八王子税務署などでも同様の文書が送られています。この手法は、国税通則法に定められた事前通知の規定を省くために考案されたとの指摘もあります。
さらに調査の重点として「消費税の無申告者」を位置づけ、売り上げが1000万円前後の小規模事業者が狙われる傾向があります。
全国商工新聞(2017年9月18日付) |