滞納処分の執行停止で330万円の納税義務消滅=鳥取民商
鳥取民主商工会(民商)の河井博さん(仮名)=建設=は10月19日、鳥取税務署から「納税義務消滅通知書」(本税約150万円、延滞税等約180万円)を受け取りました。国税通則法第72条(国税の徴収権の消滅時効)が適用されたものです。「これで肩の荷が下りてホッとした。民商に入ってさまざまな救済制度があることを学習していたことが力になった」と話しています。
河井さんは25歳で独立開業し、数人の従業員を雇ってビルの基礎工事などを請け負っていました。しかし、売り上げが思うように伸びず、1998年に「不渡り」を出し、2002年、銀行からの借入金約2000万円を県保証協会が「代位弁済」しました。その時、所得税や消費税の滞納は延滞税を含めて約800万円近くになっていました。
民商では「自己破産を考えてみてはどうか」とアドバイスしましたが、河井さんは「借入金の一部に知人の保証人が付いているので迷惑をかけたくない」との思いを伝え、自己破産をしない道を選択しました。
その後、河井さんはいったんは廃業しましたが、友人とともに法人を設立。約12年間にわたって月々、保証協会に16万円、税務署に数万円ずつの分納を続けてきました。
2013年に第三者保証人が付いた借入金の返済がようやく終わり、それを機会に無理を重ねていた河井さんは自己破産の手続きを始め翌年2月、鳥取税務署に「滞納処分の執行停止を求める請願」を提出しました。
署員が自宅を訪ねてきて「納付能力調査」を行い、3月11日に「滞納処分の執行停止」が認められ、今回、納税義務が消滅したものです。
全国商工新聞(2016年12月5日付) |