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マイナンバー「使いません」各地の民商で宣言書の活用や交渉へ取り組み
年末調整や来年の確定申告などでマイナンバー(共通番号)の利用が広がる中、各地の民主商工会(民商)はマイナンバーを提出しない旨の宣言書を活用したり、税務署やかんぽ生命と交渉するなどの取り組みを行っています。
「宣言書」で意思表示 役所や取引先に提出=沖縄民商が作成
・沖縄民商が作成したマイナンバーを提出しない宣言書(PDF)
・沖縄民商が作成したマイナンバーを提出しない宣言書(Word)
「私はマイナンバーを提出しない」―。沖縄民主商工会(民商)は9月から「マイナンバーを提出しない旨の宣言書」を作成し、活用を広げています。
宣言書は(1)役所など用(2)元請け・取引先用―の2種類。宣言趣旨では、マイナンバーが導入された米国や韓国で個人情報の漏えい、成り済まし被害が深刻なことや、内閣府・国税庁・厚生労働省など中央省庁が「番号の記載がなくても書類は受理し、罰則や不利益はない」と回答したことを紹介。「私は個人のプライバシー権を侵害するマイナンバーを提出しないことを、ここに宣言します」と明記しています。
さらに、元請け・取引先用では、マイナンバーを扱う中小業者に対して厳格な管理体制が強要され、大きな負担となり、経営にも打撃を与えることも訴えています。
宣言書づくりのきっかけは、支部の集まりを開く中で、会員からマイナンバーへの不安の声が多数寄せられたこと。「元請けから、労働保険番号とマイナンバーの提出を求められた」「役所でマインナンバーの記入がない、隣で手続きしてと言われた」「年金事務所で、番号がないと、年金受給の手続きができないと言われた」「陸運事務所で、番号がないと登録できないと言われた」などの声が相次ぎました。
また、実際に元請けや取引先などに対し、「こういう理由だから提出しません」と説明するのが難しいという率直な声も出されました。
役所との交渉では「マイナンバーを出さない理由は分かった。それを活字で提出してほしい」と言われることがありました。話を聞くと「口頭で出さないと言われても、こちらもどう処理していいか困る。本人から書面で提出されると処理しやすい」とのこと。そこで、宣言書を作成することにしました。
読谷支部の新垣義武支部長=ハウスメンテナンス=は早速、役所の年金課で宣言書を提出。それまでマイナンバー提出をしつこく求めていた職員が「分かりました」と承諾し、年金を受給できました。こうした事例も紹介し、今では多くの会員が宣言書を活用しています。
マイナンバーの拙速な導入に不安を持ち、困っている人は大勢います。会内外に制度の問題点と、民商ならではの対策を広く知らせ、「戦争する国づくり」を国民の情報統制から進めようとするマイナンバー制度の廃止を求めて奮闘しています。
確定申告書「未記載に不利益ない」交渉で税務署が回答=埼玉・川口民商
埼玉・川口民主商工会(民商)も加わる「3・13重税反対全国統一行動埼玉南部地域実行委員会」は10月24日、川口・西川口の両税務署と交渉しました。
来年から確定申告の申告書には、マイナンバーを記入する欄が新設されます。しかし、マイナンバーは不備な点が多く、むやみに記入することは危険なため、実行委員会は「確定申告や税務署提出書類にマイナンバーを記載していなくても受理すること」を申し入れました。
両税務署は「申告書に記載がなくても受理する。未記載をもって不利益処分を科すことはない。罰則もない」と回答。マイナンバーを記入すると、本人確認の手続きが増え「確認ができる書類の提示または写しの添付が必要になる」と話しました。マイナンバーを記入すると、添付書類が増えることになり、手間も危険も増え、提出にも時間が掛かることが予想されます。
参加者から「(列に並んでいる)後ろの人に見られたら、漏えいするのでは?」「申告書を郵送するには書留か」などの疑問が出され、税務署は「これから対応を検討する」と述べました。
かんぽ生命 年金受取人に提供要請 民商の指摘に「任意」と回答=東京・北区民商
「宣言書」で意思表示 役所や取引先に提出=沖縄民商が作成
かんぽ生命から届けられた個人番号提出を求める文書
「マイナンバー提出は任意なので提出しなくてもよい。そのままでも年金は普通に受け取れる」―。東京・北区民主商工会(民商)は10月6日、かんぽ生命で年金保険を受け取っている人に届いた「マイナンバー(個人番号)のご提供のお願い」と題する文書について「かんぽ生命保険マイナンバーコールセンター」に問い合わせ、上記の回答を得ました。
きっかけは、理美容業の会員から「かんぽ生命からマイナンバー提出のお願い文書が送られてきた。どうしたらよいか?」と相談を受けたこと。「マイナンバーなんて持ちたくないけれど、提出しなきゃダメなのかな…」との質問に、早速コールセンターに問い合わせてみました。
「マイナンバーを持っていない場合、どうしたらいいですか」
「ご自宅に届いていると思いますが」
「ナンバーを受け取ってないので、どうすればよいですか」
「税務署に提出するのに必要なので、市区町村に問い合わせしてもらえれば…」
「税務署は確定申告にマイナンバーがなくても受け付けると言ってますよ。マイナンバーは受け取りたくないし、使いたくない。どうすればよいですか」
「分かりました。マイナンバー提出は任意なので提出しなくてもよいです」
「何もしなくていいんですね?」
「そのままでも年金は受け取れます」
「じゃあ、このままこの文書は放っておいていいですね」
「結構です」
という結果になりました。
このやり取りを民商のツイッターで紹介すると、民商と全く関わりのない人から「どうしたらいいか困っていた。助かった」とのお礼が寄せられました。
全国商工新聞(2016年11月28日付) |