「換価の猶予」で、売掛金の差し押さえ解除=北海道・小樽民商
仲間と学び励まされ 事業継続に希望
北海道小樽市内で建設設備業を営む田中浩二さん(仮名)。消費税が滞納となり小樽税務署に売掛金が差し押さえられましたが、小樽民主商工会(民商)に入会し仲間と一緒に交渉し、7月5日に差し押さえを解除させました。「一時は自己破産をするしかないと思ったが、民商の仲間が励ましてくれて差し押さえを解除させることができた」と胸をなでおろしています。「商売を続けながら税金の滞納を解決したい」と決意し、帳簿に基づいてお金の流れをしっかりと説明できたことが大きな力になりました。
流し台や風呂などの住宅設備を取り付ける仕事をしている田中さん。現金で設備を仕入れるため政策金融公庫などから借り入れをして仕事をつないでいましたが、売掛金が思うように回収できず、借入金の返済や税金の納付が滞るようになりました。
「取引先に迷惑をかけたくない」との思いから、自己破産をせずに商売を続けながら借入金の返済や滞納税金を解決する道を探っていました。
そんな時、川畑正美市議(共産)から小樽民商を紹介され、7月1日に「税務署と話し合うにはどうすれば良いか」と相談しました。民商に入会して納税緩和措置制度を学び、「納税猶予の申請を出して誠実に対応しよう」と決意しました。
ところが、その日の午後、税務署から「近日中に売掛金60万円余りを差し押さえる」との連絡が入りました。売掛金は次の仕事の仕入れ代金に充てるもの。田中さんは、事務局員と一緒に小樽税務署に出向き、総務課長に抗議し、「換価の猶予申請を提出して納税の相談をしたい」と伝えました。しかし、翌日、「差押調書謄本」が届き税務署は売掛金を差し押さえました。
田中さんは4日の朝、佐野正一会長や事務局員と一緒に税務署に出向き、換価の猶予申請を提出。ところが担当者は「書類に不備がある」と言って受け取ろうとしないため、総務課長に抗議して受理させました。
しかし、「結論はいつ出るか分からない」「差し押さえを解除するには担保が必要」などと言い出したことから、佐野会長と事務局員は再度、総務課長に抗議。「商売を続けるために懸命に対応している納税者の立場に立っていない」「税務署が率先して中小業者をつぶしている」と厳しく追及しました。
ようやく担当者は対応を改め、田中さんは商売の実情を伝えるとともに今後の納付についても具体的な考えを示し、翌日、税務署の担当者から「差し押さえを解除する」という連絡が入りました。
全国商工新聞(2016年8月1日付) |