マイナンバー制度に広がる怒り
独自利用の条例撤回求める=鳥取県
鳥取県がマイナンバー(共通番号)を独自利用できるように条例を定めようとしている問題で、鳥取民主商工会(民商)は11月27日、鳥取県労連や新日本婦人の会鳥取県本部とともに県交渉し、「鳥取県個人番号利用事務を定める条例」(案)の撤回を求めました。業務効率推進課長、情報政策課システム刷新室長らが応対しました。
県が個人番号を独自に利用しようとしているのは療育手帳交付、自動車取得税・自動車税減免、高校の奨学金給付金、授業料減免申請、学び直し支援金支給、定時制や通信制の教科書交付などの七つの事務。最短で来年2月議会への上程を狙っています。
県は「9月議会までに全国13県が個人番号の取扱規定を条例で定め、そのうち5県(東京、大阪、神奈川、青森、兵庫)が独自利用できる内容になっている。今後も多くの都道府県で独自利用を含む条例が出される予定と聞いている」などと説明しました。
「書類に番号が記載されていないときの対応はどうなるか」との質問に対して「番号を記入してもらわなければならない」と回答。参加者は「それはおかしい。内閣府は番号が記載されていなくても書類は受理すると言っている」と抗議しましたが、「各課での対応となるので、ここでは答えられない」と明確な回答を避けました。
参加者は「鳥取県のマイナンバー制度に関するアンケート調査では、県民はマイナンバー制度をよく理解していないし、独自利用も多くの県民が望んでいないことが明らかになった」と強調。「マイナンバー制度で便利になるのは行政側だけ。国民にいいことはない。特に業者には管理責任が押し付けられ、罰則まである。今後も条例を制定すべきでない」と訴えました。
制度廃止へ学習会=神奈川・戸塚民商
会外にも宣伝し、多数の来場者を集めた戸塚民商のマイナンバー学習会
神奈川・戸塚民主商工会(民商)は11月17日、戸塚区役所3階の多目的スペースで、「第3回マイナンバー制度学習会」を開き、会外を含む53人が参加しました。
学習会の講師を務めた、神奈川税経センターの角谷啓一税理士は「マイナンバー法は国民全員に番号を付け、国民を管理、監視するための制度であり立憲主義に反するもの」と指摘。「個人番号カードを公共施設・機関でも利用し、生活用品の購入履歴などの重要な個人情報を詰め込むなど、際限なく利用拡大することが狙われている」と説明すると、「重要な個人情報がダダ漏れになるだけだ」など、参加者からは不安や怒りの声が出されました。
番号管理を求められる事業主としては「従業員本人だけでなく家族のマイナンバーも聞かないといけないのか」「会社・個人間の信頼関係が崩れるだけだ」「金庫やシュレッダーを買うお金なんてない」など、金銭的、肉体的、精神的にも負担にしかならないマイナンバー(共通番号)に怒りの声が上がりました。
開催にあたり、会内への呼び掛けはもちろん、ホームページやツイッターなどインターネットを活用して開催を告知。15日には、4グループに分かれ戸塚区内の個人商店や事業所へ「商工新聞共通番号号外・学習会チラシ・民商ビラ」を手に訪問やポスティングを行った結果、「マイナンバーのことが知りたい」と、会外から5人が参加しました。
管理する側、される側両方でデメリットしかないマイナンバーは廃止しなければならないことを再認識するとともに、マイナンバーの対応に困っている人へ、「困ったときは民商へ」と声掛けを強め、「民商は業者全体の相談窓口」の訴えを広めようと確認し合いました。
全国商工新聞(2015年12月21日付) |