各地でマイナンバー(共通番号)対策の取り組み
チラシ5万枚配布でマイナンバー学習会に110人が来場=宮城・仙台民商
110人が参加した仙台民商の共通番号学習会
宮城・仙台民主商工会(民商)は6日、「マイナンバー(共通番号)学習会」を開催し、新聞折り込みなどで市内に5万枚配布したチラシを見た会外からの参加者約30人を含む110人以上が参加しました。
日弁連情報問題対策委員会副委員長で仙台中央法律事務所所属の野呂圭弁護士は、共通番号について「国民の利便性や行政の効率化など、どれほど向上するか疑問で費用対効果も不明」と説明。アメリカでは06年から08年のなりすまし被害件数が1170万件、被害総額が約2兆円だと紹介し、韓国でも個人情報流出が続出するなど、「絶対に安全なシステムなどない」と強調しました。
従業員からの収集や官公庁への番号の提出などについては、番号を預かり「故意に漏えいした場合以外は罰則はない」と説明。共通番号の違憲性については、「住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)裁判では情報と使用範囲が限定されていることを理由に、最高裁は合憲と判断したが、共通番号で捕捉する個人情報は膨大で、利用範囲の拡大も見込まれている。本人の同意なく特定個人情報を第三者に提供することはプライバシー権の侵害だ」と訴えました。
社会保険労務士の横尾盛雄さんは共通番号制度の概要や全体の構図、実務面での対応を分かりやすく解説しました。
参加者からは「漠然と不安だったが解消した」「他のセミナーは物を売り付けられることが見え見えで怖くて行けなかった。民商の学習会に参加してみて、自分は対応をどうするか考えることができて良かった」など感想が寄せられました。
国民を食い物にする制度は廃止を=愛媛・新居浜民商
愛媛・新居浜民主商工会(民商)は5日、マイナンバー(共通番号)制度の学習会を昼と夜の2回開き、延べ46人が参加。「会員じゃない友達も一緒に参加してもいいですか」など、会外からの参加者も複数訪れました。
全国商工新聞の号外を使い、読み合わせしながら学習。1面では、全国の業種の違う会員や従業員の有無など、それぞれの対応を参考にしながら、自分たちはどうするか検討しました。2・3面では、制度の目的や狙いをQ&Aで読みながら、事務局員が説明しました。
参加者からは「確定申告書に番号を記入しなかったら、税務署は勝手に調べないのか」「受け取り拒否をした方がいいのか」などの質問や「いつの間にか、何のことやら分からないまま通っていた。番号いらんよ」「マイナンバーの学習会に行くってツイッターでつぶやいたら、友達から『どう対応するの?』と、どんどんコメントが入ってきた。しっかり聞いて帰りたい」など感想が出されました。
共通番号制度関連事業(管理ソフトなど)は、その発注総額862億円の約9割にあたる772億円を大手9社が独占していることが分かっています(赤旗11月3日付)。民商では「国民のプライバシーを食い物にする番号制度は廃止するしかない」と話し合っています。
税務署交渉で確認 共通番号記載なしも不利益ない=石川・金沢白山民商
石川・金沢白山民主商工会(民商)は6日、金沢税務署交渉を行い10人が参加。マイナンバー(共通番号)や税務調査、調査時の立ち会いについて実態を告発し、回答を求めました。
税務書類に共通番号が不記載でも、受理し、税務調査などを行わないことを要請。税務署は「番号を提出しないことで税法に罰則もなく、書類は受理する。番号がないことだけをもって調査を行うことはない」と回答しました。
税務調査の調査日に関して納税者の仕事の都合もあることから、署員の都合を優先しないことという要請には、「調査は納税者の協力のもとで行う、日程について合理的な理由があれば認める」と答えました。
10月28日の全国中小業者団体連絡会の厚労省交渉にも参加し、初めて税務署交渉に参加した児玉北斗さん=自動車整備=は過酷な労働条件で働く自動車整備業の実態も示し、「調査日について納税者の立場に立って誠実に対応してほしい」とあらためて要請。交渉終了後に「官庁の考え方が分かり勉強になった。積極的に参加して行政を変えていかなくてはいけない」と感想を語りました。
児玉さん以外にも今回の税務署交渉には、初めて参加した若者が3人おり、「聞いていて疑問の箇所を質問できて良かった」などと感想を述べていました。
全国商工新聞(2015年11月30日付) |