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  トップページ > 税金のページ > 徴税攻勢 > 全国商工新聞 第3193号11月23日付
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マイナンバーで潤う?! 大企業・官僚・自民党 利権まみれの制度

「いらない」という選択を

 マイナンバー(共通番号)制度をめぐって事業を受注した大企業が自民党に政治献金をしていたことが明らかになりました。日本弁護士連合会(日弁連)情報問題対策委員の清水勉弁護士は「共通番号制度は、大企業をもうけさせるために導入されたもの」と厳しく批判します。住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)が導入されたときから国民への付番に反対してきた清水弁護士に共通番号制度の狙いや問題点などを聞きました。

―共通番号制度に反対する理由は
 共通番号制度は具体的な国民のニーズがないところで始まっていることに最大の問題があります。憲法違反という規範レベルはもちろん、全く話にならない制度です。全ての国民を巻き込だ制度をなぜつくるのか、住民や職員の仕事にどんなメリットがあるのか具体的に示されていません。
 2003年8月から始まった住基カードは12年間たっても普及率はわずか5%です。全国の自治体や住民を巻き込んでいながらです。ニーズがないことを示しています。

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表:情報連携基盤技術ワーキンググループの委員になった企業の受注額、天下り、献金の実態

もうかる大企業

―国は制度をなぜ導入したのでしょうか
 結論からいうと、住基ネットで「もうけが少ない」と不満を持っていたNTTや日立製作所などにもっとビッグな仕事をさせるためです。共通番号制度は住基ネットのシステムを基盤にしています。その基盤を開発したのはNTTで、住基カードを製作したのは日立製作所です。住基ネットの基盤をマイナンバー制度に活用することを決めた段階で、入札制度にしても他の企業はなかなか入ってこれません。インフラの市場は基本的にNTTが受注し、制度運用に関してはNTTの関連企業が受注します。さらには個人番号カードの普及が高まれば日立製作所がもうかるわけです。

―国民の利便性が向上すると宣伝していますが
 国は「カードを取得すると便利ですよ。持っていないと不便ですよ」とアピールする一方で、「国家公務員全員に持たせよう」と議論しています。「住基ネット」の失敗を繰り返さないため、「個人番号カード」の取得を3、4割に持っていきたいわけですよ。
 しかし、カードがなくて不便と感じる人がどれほどいるでしょうか。一般の人が役所に行って本人確認して手続きをすることは年に一度あるかないか、何年もない場合だってあります。住民票がコンビニで交付されなくても、生活に重大な支障が出るでしょうか?
 国民が制度をつくってくれと言ったわけでもなく、自治体にとっても本人確認が多少は楽になる程度です。

納税者の権利を

―個人番号を使った徴収強化も狙われています
 個人番号を付けることで、自動的に国の税収が増えるという試算はどこにもありません。
 日本の税制は大企業が優遇されています。大企業からではなく、重箱の隅をつついて国民や中小企業から税金を徴収するような制度です。
 税制と日本経済から考えて、裏金をたくさん蓄えて申告は少ししかしないという中小企業や個人事業主がどれほど存在するでしょうか。多くの中小企業が来月の支払いをどうしようかと悩み、国民も重税に苦しんでいます。そこに番号を付番しても税金はとれないし、税収は増えません。
 税収を増やすというのであれば、税制を変えて大企業からもっと税金を徴収する。あるいは日本の経済を良くして中小企業者がもうかるようにすればいいわけです。
 安倍政権が何本の矢を放つのか知りませんが、それで中小企業がつぶれていくのであれば日本経済は活性化しません。
 日弁連の税制委員会も共通番号制度に反対しています。それは納税者の権利という視点がないからです。共通番号制度は考え方として納税者の権利を基盤にせず、国民や預金口座に付番すると税金が取りやすくなるという考え方です。中小企業は一生懸命に働いて税金を納めています。納税者の権利が守られるべきで、一方的に税金を取りやすい仕組みをつくることは大きな間違いです。

―制度を廃止させるために何が必要でしょうか
 この制度がいかに無駄かを明らかにすることが大事です。「制度はできたけど住基ネットなみに意味がない」ことを知らせ、「今度こそやめさせよう」と追い込むこと。莫大な税金が投入され、今後も費用がかかり続けます。それを超えるメリットが国民にも自治体にも金融機関にもないわけですから「この制度はいらない」という選択肢を分かりやすく示すことです。
 一部の大企業をもうけさせるために制度を続ける必要はありません。

受注大企業 自民に献金

国民のプライバシー食い物に

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表:マイナンバー制度は政官財の”出来レース”

 マイナンバー事業をめぐる政官財の癒着の構図が浮かび上がっています。
 国が発注した862億円のうち約9割に当たる772億円を大手電機企業など9社が受注し、そのうち6社には行政機関の幹部33人が天下りをしていたことが明らかになりました(「しんぶん赤旗」11月3日付)。
 受注していたのは内閣官房が設置した「情報連携基盤技術ワーキンググループ」の委員を派遣していた大企業。同紙によると富士通が216億円、日立製作所が188億円、NTTデータが138億円、NECが65億円と受注額の8割近くを占めています(表)。
 しかも一般競争入札に参加した5社が受注した123億1200万円の契約額は予定価格の99・98%であることが池内さおり衆院議員(共産)の調べで分かり、事前に漏れていた可能性が指摘されています。
 さらに日立製作所、富士通、NEC、NTTデータ4社が自民党の政治資金団体「国民政治協会」に、5年間で2億4000億円を超える献金をしていたことが判明(同11月8日付)。同事業を受注した上位4社と一致します。こうした実態は共通番号制度がシステム開発の段階から制度を食い物にする利権構造がつくられていたことを表わしています。セキュリティー対策や利用拡大などを含めると同制度の市場規模は3兆円に上るといわれています。国民のプライバシーさえ大企業のもうけ口にする安倍政権と財界に対して批判が高まるのは必至です。

全国商工新聞(2015年11月23日付)
 

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