<どうするどうなるマイナンバー>
政府の対応こそ問題
平野 正一さん=日本自治体労働組合総連合中央執行委員
個人番号の周知が始まったのと同時に、恐れていた問題が全国で吹き出してきています。
マイナンバー法案が国会で成立したのが9月3日。施行が10月5日と決められている下で、国から自治体への周知は後回しにされてきました。こうした状況で自治体が運用の仕方や職員教育などを短期間のうちに対応するには、かなり無理がありました。
札幌市や茨城県取手市、美浦村などでの情報漏えいは、マイナンバー制度が抱える問題や日程上からも、起こるべくして起こったと言わざるを得ません。
取手市は自動交付機の「設定上のミス」と弁明しましたが、ミスで許されるはずがありません。政府は特定個人情報保護評価をすれば、安全性や機密性は担保されるかのように言ってきましたが、政府の無責任でずさんな対応にこそ問題があります。
また、制度をめぐって厚生官僚が収賄事件を起こしました。政府は莫大な税金を注ぎ込んで、マイナンバー制度が国民にとって良い制度のようにキャンペーンを行ってきましたが、3兆円市場ともいわれる「ナンバービジネス」で潤う企業があるという利権構造が出来上がっています。
マイナンバー制度は国民の財産や生活を監視することが真の目的であること、システムを修正したところで個人番号が安全運用されることは難しいことを徹底的に明らかにする必要があります。
全国商工新聞(2015年11月2日付) |