<どうするどうなるマイナンバー>
早くもトラブル続出
住民票に番号 委託業者ミス=茨城県取手市ほか
マイナンバー(個人番号)制度が施行され、早くも個人番号が流出するという問題が発生しました。
茨城県取手市は10月13日、自動交付機で発行された69世帯、100人の住民票に個人番号が記載されていたことを発表しました。電算業務の委託業者が住民票に個人番号を記載しないようにする作業を怠ったことが原因としています。
住民は気付かないままに金融機関やUR(都市再生機構)、法務局、警察などに提出し、第三者に番号を知られてしまいました。委託業者は個人番号を記載しないと設定したと思い込み、市も番号が印字されないことを確認しなかったことを認めています。
同美浦村でも10月5日から13日にかけて個人番号が記載された住民票が28人に交付され、札幌市厚別区でも6日、2人の住民票に個人番号が記載されていたことが明らかになりました。
政府は「個人情報の安全・安心」を確保するための措置を講じているので、個人情報が外部に漏れることはないと強弁していましたが、個人番号が第三者に漏えいし、ずさんな管理体制が浮き彫りになりました。
贈収賄事件で 癒着明るみに=厚労省
一方、制度導入をめぐって贈収賄事件が起きるなど官民癒着の構造も明らかになりました。
警視庁は10月13日、都内の経営コンサルタント会社が事業を受注できるように便宜を図った見返りに現金100万円を受け取ったとして厚生労働省情報政策担当参事官室の室長補佐の中安一幸容疑者を逮捕しました。
さらに政府が制度導入に向けた技術的な問題を検討するため検討会(情報連携基盤技術ワーキンググループ)に参加した多くの企業が制度設計の段階から関与して独占的に受注していたことが発覚しました(「赤旗」10月15日付)。
マイナンバー制度の市場規模はセキュリティー対策や将来の利用拡大などを含めると3兆円規模に上るといわれています。自治体への補助金をはじめシステム改修費やランニングコストなどに多額の税金が注ぎ込まれ、IT企業は事業を受注するため必死に食い込もうとします。業界はビジネスチャンスと捉えていますが、今後も官民癒着の温床になることが懸念されます。
全国商工新聞(2015年11月2日付) |