「新聞代は必要経費」否認の原処分庁に反論=名古屋南民商
名古屋国税不服審判所で口頭意見陳述をした笠原さん(右から2番目)。その左は板平会長
熱田税務署が税務調査で新聞購読料を必要経費と認めなかったことを不服として、名古屋南民主商工会(民商)の笠原晋さん=建設=は、名古屋国税不服審判所に審査請求をしてたたかっています。審理は「論点整理」に入り、笠原さんは8月31日、「経費にならない理由を開示せよ」と、原処分庁(税務署長等)の「意見書」に対して「「反論書」を提出しました。
「営業活動やお客さんとの意見交換で新聞は大事な資料。特に地元紙の紙面広告や折り込みなどは情報収集に欠かせない。業務上、新聞は必要不可欠で経費にならないのはおかしい」と笠原さんは断言します。
税務調査は2013年8月21日に始まり、笠原さんは支部の役員と一緒に対策を立て仲間の調査にも立ち会って学習しました。
資料をそろえて臨んだ調査で、署員は売り上げが1000万円に届かないことが分かると経費について重箱の隅をつつくように調べだし、中日新聞と中日スポーツ新聞の購読料は経費と認められないと主張しました。
調査結果は平成23(2011年)は是認、24、25年分の少額修正を税務署側は迫りましたが、笠原さんは新聞購読料を経費として認めなかったことが納得できず昨年12月8日、熱田税務署に異議申し立て。「詳細な処分理由開示の申立書」「口頭意見陳述申立書」、併せて税金対策部会や班会で署名してもらった民商の仲間の「委任状」を異議申立書と一緒に提出しました。
今年2月の口頭意見陳述で笠原さんの代理人となった板平勇会長は「必要経費が認められなければ納税者は財産権(憲法29条)を侵されることになり、処分の理由を知る権利がある」と主張。しかし、税務署は異議申し立てを却下。笠原さんは4月1日、名古屋国税不服審判所に審査請求をし、7月1日の口頭意見陳述では不服審判所に新聞購読料が経費となる具体的な資料を示し「分かりやすい言葉で処分理由を要求する」と述べました。
ところが、8月6日に原処分庁から送られてきた「意見書」は「本件購読料が必要経費に算入できないことは、答弁書で述べた通り」と誠意のないもの。「争点整理」で笠原さんは「名古屋駅開発の影響で外注さんの取り合いになり、人手が足りるか単価をどうするかなどは新聞を読んで判断をすることが多い。商売に役立つからこそ購読している。だから、当然経費になるはずだ」と担当者に訴えました。
全国商工新聞(2015年9月28日付) |