換価の猶予実現 納税緩和の活用を=北海道・函館
北海道・函館民主商工会(民商)は「税金が一括で納められない」との声に応え、「納税の猶予」申請に取り組んでいます。昨年に続いて「納税の猶予」を申請をした高山輝昭さん=飲食=は4月22日に「換価の猶予許可通知書」が届き、12回の分納が認められました。今年は消費税額が32万円と昨年の1.7倍に増えた高山さん。「一括ではとても納められない」と悩んでいただけに、「換価の猶予が認められて、安心して商売ができる」と喜んでいます。
延滞税は減免
高山さんは昨年春、納税緩和措置学習会に参加して初めて「納税の猶予」制度があることを知りました。民商の仲間と交渉し、「納税の猶予」を申請。換価の猶予が認められ、18万円の消費税を計画どおりに9回の分納で完納しました。
今年になって延滞税の通知が届きましたが、延滞税は2100円と4分の3が免除に。「思っていた以上に延滞税が少なくてびっくり。今年も分納計画どおりに納付したい」と話しています。
差し押さえ回避内装業の会員
函館市内で内装業を営む田中清さん(仮名)は函館民商に入会し、3月19日に「納税の猶予」を申請しました。
今年度の売り上げが前年に比べて半減。前年までは上り調子だったため、税理士に言われるまま役員報酬を大幅にアップしました。そのことが響いて源泉所得税が高額になり、消費税と合わせて170万円が滞ってしまいました。
毎月、税務署に行って分納をしていましたが、今年になって税務署の担当徴収官が代わり、「3月末までに全額納入しなければ売掛金を差し押さえる」と強権的な対応に一変しました。困り果てた田中さんはインターネット検索で函館民商のホームページを見つけて3月14日、民商の事務所を訪ねました。
「納税の猶予」申請の話を聞いた田中さんは「そんなことができるのですか」と表情が明るくなりました。数字はいつも税理士任せでしたが、自分で数字をまとめて納付できる金額を算出。「納税の猶予」申請書を書き上げました。
19日に事務局員と一緒に函館税務署に行って交渉し、2時間の話し合いの末「差し押さえはしない」と約束。12回の分割で納付することにしました。田中さんは「1人で行ったときは、全くこちらの主張が聞き入れられなかったが、全然対応が違って、こちらの要求通りになって良かった」と話しています。
全国商工新聞(2015年5月25日付) |