一括納付迫る税務署 交渉で分納認めさせる=北海道・小樽
納付が滞った消費税と源泉所得税の一括納付を迫られていた北海道・小樽民主商工会(民商)のTさんは先ごろ、民商の仲間とともに税務署と交渉し、分納を認めさせました。「商売を辞めようか、死んでしまおうかと何度も考えたけど、民商の仲間がいれば一緒にたたかうことができる」と話しています。
Tさんは20年前、小樽市内に美容室を開業し、経営を伸ばしてきました。8年前、思い切って二つの支店をオープン。しかし、業績は思うように伸びず、3年前に支店の閉店を余儀なくされました。その後、借入金の返済が負担となって消費税と源泉所得税が払えなくなり、合わせて400万円余の納付が滞ってしまいました。
毎月、分割納付を続けていましたが、9月に新しく担当になった若い署員が「滞納分を一括で払うか、分納額を大幅に増やしてほしい」と言い出し、当面の生活費だった現金を徴収しました。署員は後日、Tさんを呼び出して「25年分の消費税全額を10月21日までに払ってほしい」「支払わなければ、担保になっている親の住宅も差し押さえることになる」と迫りました。
「好きな商売を続けるために必死にやってきた。払えなくなった税金も税務署と相談しながら誠実に納付してきた。そんな実態を知っていながら税務署は一括納付を迫った。人の弱みに付け込んで脅迫する税務署はサラ金よりもひどい」。
怒りを覚えたTさんは以前、ビラで知った民商に相談しました。役員や事務局員に励まされて民商に入会し、徹底的に税務署とたたかうことを決意。さっそく小樽民商会長らと一緒に税務署と交渉しました。
納税者の立場に立った税務行政や納税緩和措置を活用すること、恐喝的、強権的な換価措置をやめることなどを要望。Tさんは涙ながらに厳しい実態を訴え、担当署員はこれまでどおりの分納を認めました。
全国商工新聞(2014年12月1日付) |