「呼び出し調査」不当な実態追及=共産党・佐々木議員
「改正」国税通則法で調査手続きが法定化されたにもかかわらず、事前通知なしの税務調査や、行政指導と称して税務署に呼び出して税務調査を始めるなど不当な税務行政が横行しています。佐々木憲昭衆院議員(共産)は12日の財務金融委員会でこの問題を取り上げ、税務行政の改善を求めました。
佐々木議員は税務調査と行政指導の違いについて説明を求めました。国税庁の佐川宣寿次長は「税務調査は、課税業者の税額などを認定するための書類の収集や要件事実の認定など職員が行う一連の行為。行政指導は申告者の計算に誤りや記載漏れがある場合、必要に応じて修正申告の提出を要請する行為」とした上で、「来署を依頼する場合、税務調査か行政指導なのかは事前に納税者に明示する」と答弁しました。
国税庁はこの間、「来署するまでは行政指導で、来署すれば税務調査に切り替える。来署での調査は実地調査ではないので、事前通知はしない」(10月9日・全中連交渉)と詭弁を弄していましたが、今回の答弁で税務調査か行政指導なのかの事前の明示が必要なことが示されました。
また、「例えば5年分の所得状況を調べたいので帳簿や印鑑などを持参してほしいというのは、計算の誤りなどを指摘する行政指導とは違うのではないか」との質問に対して、佐川次長は「税額などを認定する場合、納税者に来署を依頼して税務書類を確認するのは、一般的に税務調査になる」との認識を示しました。
「行政指導で来署を求められたときに都合がつかなかった、失念して行けなかったなどでペナルティーをかける、あるいは不利益処分を行うことがあるのか」との質問に対して佐川次長は「行政指導に応じないことによって税務調査をただちに実施することはない」と答弁。事前通知については「調査手続きの透明性、納税者の予見可能性を高めるために法定化された」と説明し、事前通知をしなくていいのは「違法または不当な行為を容易にし、税額把握を困難にする、あるいは調査遂行に支障がある恐れが認められる場合」に限ると答えました。
事前通知徹底を
この質疑を通じて、「税額を確定する行為は税務調査」であることが明らかになりました。「行政指導」の名で納税者を税務署に呼び出し、税金の追徴などを迫る行為は税務調査であり、国税通則法に定められた11項目の事前通知などの調査手続きが必要になります。
全国商工新聞(2014年11月24日付) |