署員の横暴謝罪させ税務調査無期限延期=岐阜北
病気の妻の体調にも配慮しないなど納税者の権利を無視する税務調査に苦しめられた岐阜北民主商工会(民商)のSさん=運送・土木=は、民商の仲間と税務署に抗議・要請し、6月16日に税務調査を「期限を定めない延期」にさせることができました。
「1人ではとても怖くて対応できんかった。みんなが一緒にいてくれたおかげで言いたいことを堂々と言えた。民商に入っていて良かった」と話しています。
岐阜北税務署からSさんに電話が入ったのは、昨年10月15日。「3年分の調査をするために11月5日に訪問する」と伝えられました。
Sさんはすぐに高富支部の支部長と事務局員に対応を相談。「秋から年度末にかけて仕事が忙しくなるので、事前通知もなく、一方的に調査日を決められても対応できない。妻のKさんは10年ほど前に心筋梗塞を起こしてからは体と相談しながら生活をしているのでそのことも配慮してほしい」と税務署に伝えました。
ところが、その直後から、連絡もなく自宅を何度も訪ねてきたり、Sさんの携帯や家族にもしつこく電話をかけてくるようになりました。心労を重ねた妻のKさんは、施錠した真っ暗な部屋でSさんの帰りを待つようになりました。
あまりにもひどい署員の行動にSさんの怒りは爆発。「もう黙っとることはできん。うちの母ちゃんがどうなってもいいんか」と11月15日、支部長や事務局員と一緒に岐阜北税務署に出向いて抗議。署員は「申し訳なかった」と謝罪しました。支部長が「二度とこんなことがないようにしてもらいたい」と念を押すと、署員は「分かりました」と約束しました。
その後、高富支部はSさん宅で対策会議を開き、納税者の権利や「税務調査の10の心得」、税務署に義務付けられた事前通知の内容を学習。今後の調査の進め方について話し合いました。
年末には支部の仲間と一緒に税務調査の中止を求め、年が明けてから税務署は4月までの税務調査延期を通知してきました。
5月に入ってから税務署から「そろそろどうでしょうか」との連絡がSさんに入り、高富支部は5月19日、2回目の対策会議を開きました。全商連の自主計算パンフで学習し対応を相談。26日にSさん宅を訪れた署員に福井支部長らが立ち会う中で、あらためて調査の中止を要望しました。
その結果、今回の税務調査について、妻のKさんの体調などに鑑み「期限を定めない延期」とすることになりました。
全国商工新聞(2014年7月7日付) |