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  トップページ > 税金のページ > 徴税攻勢 > 全国商工新聞 第3118号5月12日付
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税金 徴税攻勢
 

税・保険料 滞納整理に新基準=鳥取

 鳥取県は4月1日、県税滞納時の徴収事務処理を記した「滞納整理マニュアル」を改訂しました。昨年11月27日の広島高裁判決で、預金口座に入金された児童手当の差し押さえ処分は違法と判断されたことを受けたもの。裁判で勝訴した鳥取民主商工会(民商)の会員=不動産=らの長年のたたかいは、同県の違法な徴税業務を改めさせました。

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勝訴の垂れ幕を掲げ、喜ぶ原告団と支援者(昨年11月27日、広島高裁松江支部前)

 「滞納整理マニュアル」の見直しは、広島高裁判決後の昨年12月10日の県議会で、平井伸治知事が「従来の課税実務に問題があった。適正化をはかりたい」と認め、謝罪したことから行われたもの。預金口座の差し押さえについて「(取引履歴から)児童手当などの特別法による差押禁止債権の入金の有無について、十分に確認する」「預金履歴から差押禁止財産の入金が確認できた場合、国税徴収法などに規定する差押禁止相当額を控除(する)」「滞納者の申し出で、差し押さえに係る預金原資が差押禁止財産であると識別・特定が可能と認められ(る場合)、直ちに差し押さえを解除・取消にすること」など5点を示しています(図)。

図

 鳥取県民主商工会連合会(県連)の奥田清治会長は「従来の徴税方針から見ればかなり踏み込んだ内容であり、私たちのたたかいが、県の徴税行政を変えたといえる。高裁判決を踏まえるよう各自治体と交渉したり、全国的な基準を作らせることが、今後必要になる」と語っています。
 同県は、4月1日から改訂「滞納整理マニュアル」に基づく業務を開始。昨年12県議会では県の総務部長が「(改訂『滞納整理マニュアル』は)県内の市町村でも共有する」と答弁しています。

解説=鳥取県の児童手当裁判 県の差し押さえ断罪

 児童手当は児童手当法15条で差押禁止債権とされています。ところが1998年に最高裁が、差押禁止債権に係るお金が金融機関の口座に振り込まれ、預金と混在した場合、原則として差押禁止債権としての属性を承継しない(差し押さえは可能)との原審判決を是認する判決を出し、これが根拠として全国で強権的な徴収行政が広がっていました。
 鳥取民商のTさんは、長引く不況で、個人事業税など約29万円の滞納を余儀なくされていました。08年6月11日に子どもの教育費や給食費に充てる予定の児童手当(13万円)が口座に振り込まれた9分後に、県に差し押さえられました。Tさんは「差し押さえは違法である」と県を提訴し、第一審の鳥取地裁判決で勝訴。
 第二審の広島高裁判決の重要なポイントは、県側が根拠とする最高裁判決を前提に考えたとしても、児童手当が預金になった後も「児童手当としての属性を失っていなかった」「(鳥取県の差し押さえ処分は)児童手当法15条(差押禁止)の趣旨に反するものとして違法」と認定し、県に13万円の児童手当の返還を命じた点です。同県が上告を断念したため昨年12月に判決が確定しました。

全国商工新聞(2014年5月12日付)
 

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