乱暴な税務調査に抗議 青色取消・重加算許さず=富山・新川
「妻の私物を強引に取り上げ、顧客データを持ち帰る」―。富山・魚津税務署の不当な税務調査を受けた新川民主商工会(民商)の加藤正治さん(仮名)=美容=は、民商と一緒に税務署へ抗議。6月25日に納得のいく修正申告で調査を終わることができ「民商に相談して心強かった」と喜んでいます。
不当調査は4月に起こりました。事前通知なしに税務署員6人が加藤さんの事務所に突然やってきました。
任意調査にもかかわらず、署員たちはレジの現金を確認し、ゴミ箱もひっくり返して調べました。さらにハンドバッグに目をつけ、嫌がる加藤さんの妻から手帳を強引に取り上げ、3年分の私的な記録を見ました。財務資料とは関係のない顧客データをUSBメモリーにコピーし、7年分の青色申告の承認取り消しや重加算税など脅しともとれる言葉を口にする横暴極まりない態度でした。
加藤さんは、犯罪捜査であるかのような態度に抗議。署員は2回目の調査時に謝罪しました。
「申立書」の提出を強要
しかし、その後、署員が示してきた7年間分の課税額は、青色申告の承認取り消しと重加算税で1000万円を超えるものでした。その上、税務署が作成した「貴署調査官から当社がスタッフに対する売上代金を収入に計上していない旨のご指摘を受けました。ご寛大な処分をお願いします」と書かれた「申立書」に署名・押印をし、提出するよう要求されました。
商工新聞の読者だった加藤さんは民商に相談して税務署とたたかうことを決意し入会。民商役員らと税務署へ抗議しました。
加藤さんは「犯罪者のような扱いをされた上、私が謝罪をするかのような『申立書』まで書けとは、何事か」と憤りを隠しきれませんでした。妻は「私的な手帳をなめまわすように1日中調べられた。怖い思いがよみがえる」と涙ながらに訴えました。
さらに抗議では(1)不当な税務調査をすぐにやめること(2)コピーしたデータを廃棄すること(3)調査で被った精神的損害に対する補償と正式な謝罪を要求。税務署側はデータの廃棄を明らかにしました。
不当調査は断じて許すまいと、民商の仲間と交渉したことで、最終的に青色申告の承認取り消しと重加算税はなくなり、総額140万円の修正申告で終了しました。
加藤さんは「税理士にかかっていたが、不当な税務調査を受けた。民商に相談して、一緒に税務署へ毅然と抗議したことで、勇気付けられた」と話しています。
全国商工新聞(2012年9月17日付)
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