病気・廃業による困難訴え 「納税義務の消滅」処分=山口・岩国
消費税などの納税が困難となった山口・岩国民主商工会(民商)の藤川宗行さん=エクステリア=は先ごろ、岩国税務署から本税・延滞税など約330万円の「滞納処分の停止」と「納税義務の消滅」の通知が届きました。息子の勝道さんは「これで安心して商売に専念できる」と喜んでいます。
宗行さんは05年、自身が病気になったため廃業し、事業は勝道さんが継ぎました。その直後に税務調査が発生しました。
勝道さんは民商と一緒に、「病気で調査を受けられない」と調査の中止を求めましたが、翌年3月に消費税・所得税合わせて約500万円の追徴となる更正決定処分を受けました。
納得がいかなかった藤川さんは06年5月、異議申し立てをしましたが棄却に。納税ができる状況にないことを訴え、「滞納処分の停止」を求める請願書を提出しました。
しかし1年後、税務署員が突然藤川さんの自宅を訪れ、滞納分の納税を迫りました。病気で引きこもり状態だった宗行さんに代わって応対した娘さんは、預金を取り崩し、約250万円を振り込みました。
民商は「納税義務がない親族から無理矢理に納税させたのはおかしい」と抗議。返還と滞納処分の停止をあらためて求めました。
それから4年たった今年の5月27日、税務署は国税徴収法第153条第1項第1号(処分できる財産がない)に該当するとして「滞納処分の停止」通知を、6月2日には国税通則法72条(徴収権の消滅時効)にのっとって「納税義務の消滅」通知を発行しました。
娘さんに納税させた問題については、08年10月の国会で、日本共産党の佐々木憲昭衆院議員が、「親の滞納分を納税義務のない子どもに振り込ませる。これが税務署のやることか」と追及。岡本国税庁次長は「税務署から滞納者の親族に納付を強要することはない」と答弁しました。しかし税務署は、「娘さんが自主的に納税した」と主張し、いまだに返還していません。
民商は「滞納処分の停止」を実現したことで、あらためて返還を求める予定です。
全国商工新聞(2011年9月5日付)
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