開業後の経営難で滞納税 市交渉で処分免除=香川・高松
不況により、約27万円の地方税の納税が困難となった香川・高松民主商工会(民商)の岸本和彦さん=パソコン関連=は先ごろ、市と交渉し、免除と滞納処分の停止をかちとりました。「これで安心して商売を続けられる」と喜んでいます。
納税緩和学んで
岸本さんは昨年、会社を退職して合同会社を設立・開業しましたが、経営が軌道に乗らず、2010年度の住民税、国民健康保険料(国保)が滞納になりました。
毎月開催されている民商税金対策部の滞納相談・学習会や他の会員の交渉に参加しながら納税緩和措置などを学び、昨年10月にさぬき市に対して減免と徴収猶予を申請しました。しかし、12月に不承認通知が。すぐに異議申し立てをしましたが、今年1月に「廃業していないので該当しない」との理由で「棄却」決定通知が送られてきました。
岸本さんは制度融資や生活福祉資金(生業費)の借り入れにも挑戦しましたがすべて不調に。最後は日本共産党の岡田まなみ市議に相談して、生活保護を受給することができました。
その後も滞納税の督促状が届いたため、再び市に減免申請をすると、納期が到来していない市県民税3万6000円は市税条例第51条第1項(市民税の減免)により免除に、納期が過ぎた7万6700円は地方税法第15条の7第1項第2号(滞納処分で生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき)に該当するとして3月25日に滞納処分の停止となりました。また、国保の9万8000円はすべて執行停止となりました。
法人市民税も停止かちとる
さらに、4月に法人市民税の均等割5万5000円の納税義務が発生したため、高松市に滞納処分の停止を求めました。市は、「執行停止になったとしても通知をしないのが市の方針。知りたければ連絡を」と不当な対応。岸本さんは「国税徴収法や地方税法でも通知をすることが規定されている」と抗議し、書面での通知を要求しました。
市は要求を認め、国税徴収法第153条第1項第1号(処分できる財産がないとき)に該当するとして、7月15日に滞納処分の停止通知書を送付しました。
幾多の困難を突破した岸本さんは「弱者を救済するセーフティーネットの貧しさを実感した。税減免や徴収猶予などの措置を積極的に認めさせるように改善させたい」と話しています。
全国商工新聞(2011年8月29日付)
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