市が無予告で自宅差押 「徴収猶予」申請で解除=愛知・岡崎
地方税500万円の納税が困難となり、自宅などを差し押さえられた愛知・岡崎民主商工会(民商)のHさん=運送=は5月19日、「徴収猶予」(注)を実現しました。差し押さえを解除させ、「会社も従業員の生活も守ることができてよかった」と喜んでいます。
Hさんは9年前、取引会社が整理縮小した影響で、市民税、国民健康保険税、固定資産税が滞納に。豊田市と話し合い、毎月約束した分納額を納付してきましたが、燃料高騰や仕事減もあって、延滞金を含めて滞納額は500万円に上りました。
それでも誠意をもって分納を続けていましたが、昨年12月に自宅・土地を差し押さえられてしまいました。
通知がなく、処分されたことを知らなかったHさんは、取引銀行からの知らせにびっくり。市に抗議しましたが、「完納しないと解除しない」の一点張り。困り果てて民商に相談しました。
民商は5月17日、一緒に市に申し入れ、通知もなく差し押さえたことに抗議し、解除を要求しました。
市は非を認めず、「滞納額が多く、財産があったから法令に基づいて差し押さえた」と機械的な回答に終始。事業資金の借り入れに影響が出ることを訴えて「徴収猶予」を申請しました。「2年後に残額がある場合は改めて話し合いをすること」の同意も市に求めました。
申請は2日後に認められ、差し押さえも解除になりました。Hさんは「予告なしの差し押さえに驚いたが、民商の応援で解除にできて本当にうれしかった」と話しています。
(注)納税の猶予(国税)・徴収猶予(地方税)=(※税務署長・地方団体の長)は震災や風水害、盗難、家族の病気、事業の廃止または休止、事業の著しい損失などの場合に納税者の申請で、納税を猶予することができる。
全国商工新聞(2011年6月13日付)
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