納税義務の過度な強調に注意する 財務大臣政務官が回答
「平成23年度税制改正大綱」で尾立政務官(右)に要望する西村全商連副会長(中)。左は佐々木衆院議員
「納税者の権利を確立してほしい」―。全国商工団体連合会(全商連)は12月20日、「平成23年度税制改正大綱」に対する要望を財務大臣政務官の尾立源幸参院議員(民主党)に申し入れました。
大綱が法人税減税と引き換えに所得税の控除を縮小し、消費税増税を検討していることについて、西村冨佐多副会長は「庶民増税だ」と批判。さらに「納税者権利憲章」制定とは名ばかりに、国税通則法を改悪して税務署の権限強化を狙っており、「納税者にしばりをかけ、課税庁は柔軟になる内容であり、大きな問題だ」と指摘しました。
その上で、「憲章づくりを国税庁任せにせず、国民の声を広く聞く」「事前通知は無条件で行う」「白色申告者の記帳義務化はしない」ことなどを要望しました。
税理士・公認会計士の経歴を持つ尾立政務官は「税務手続きでこれまであいまいだったところを法定化し、納税者の権利と義務をバランスよく記載した」と説明。「納税者の権利確立の方向に前進させた」と主張しました。
全商連は、90年にOECD税務委員会が発表し、91年に全商連によって翻訳・出版された「納税者の権利と義務(OECD報告書)」を紹介。「報告書は、納税者の権利確立を目的に発表されたもので、ここにある義務とは、課税当局の義務である」と指摘。納税者の義務についてはすでに各税法に規定されており、納税者の権利憲章には記載しないことを求めました。
尾立政務官は「作業はこれから。過度に納税者の義務が強調されないように注意する。納税者にとっていいものにしたい」と回答。「そのために国会でも大いに議論したい」と述べました。
申し入れには、日本共産党の佐々木憲昭衆院議員が同席しました。
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