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  トップページ > 税金のページ > 徴税攻勢 > 全国商工新聞 第2930号 6月14日付
 
税金 徴税攻勢
 

「納税の猶予」で延滞税半減・緊急融資も実現


 「一時は廃業も覚悟した」と話す埼玉・川口民主商工会(民商)のOさん=金属加工部品卸=はこのほど、税金の滞納問題を「納税の猶予」で解決し、資金繰り問題を「緊急融資」で突破しました。幾多の困難を乗り越え、元気に商売を続けるOさんの姿が、民商の仲間を大きく励ましています。

 埼玉・川口民商
  Oさん=金属加工部品卸
 取引先の倒産で500万円滞納
 Oさんは18年前に開業。約2000点にも及ぶ金属加工部品などを扱い、精密機械から医療器械などあらゆる分野でものづくりに貢献してきました。
 しかし、4年前に取引先の倒産や事業撤退が相次ぎ、消費税や延滞税など500万円が滞納になりました。
 西川口税務署に事情を説明し、事務所移転などで経費削減の努力もしましたが、毎月の納税は厳しく、夜も眠れない日々を送りました。
 Oさんは08年2月、新聞に折りこまれていたチラシを見て、民商に相談。入会後、税金対策部会に参加して、納税者の権利や納税緩和措置について学びました。
 誠意ある納税者「納税の猶予」を
 民商会長の米田務さん=プラモデル製造・加工=は「誠意ある納税者とは納税の意思があること。Oさんは誠意ある納税者なので納税の猶予を申請するべきだ」と激励。08年4月に税務署に「納税の猶予」を申請しました。
 しかし、担保の提供がないことを理由に申請は不許可に。納得がいかないOさんは08年7月、税務署長に「異議申し立て」を行いました。

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Oさんがかちとった「納税の猶予許可通知書」

 9月には民商の仲間とともに口頭意見陳述に立ち、「国税通則法46条5項では、担保が提供できない特別の事情がある場合は、担保はいらないことになっている。税務署は法律の趣旨に沿って審査を」と主張しました。
 税務署は10月、「担保の提供がないことをもって不許可としたことは違法である」として、不許可決定を撤回。売掛金の回収不能などの経済的な理由による「納税の猶予」を認めさせ、延滞税170万円が90万円に減額されました。
 権利を主張し緊急融資実現
 商売を軌道に乗せたいと考えたOさんは昨年2月、運転資金を確保しようと制度融資を申し込みました。しかし、保証協会は税金が完納していないことを理由に保証を拒否。「悔しさと失望感で、帰りの車の中で泣いた」というOさんは本気で廃業を考えたといいます。
 民商と埼玉県商工団体連合会(県連)は、Oさんを全力でバックアップ。「納税の猶予」は滞納とは違うこと、大不況の中で生き延びるには融資が必要であることを保証協会との交渉の中で粘り強く訴えました。
 そして、経営改善計画を提出するなどの努力が実り、今年2月に1300万円の緊急融資(セーフティーネット5号)が実現しました。
 「民商の力強さを実感した」と笑顔で話すOさん。米田会長も「権利を主張したことが成果に結びついた。私もうれしい」と、わがことのように喜びました。
 要求運動通じ民商に教訓が
 民商は、Oさんの要求実現の運動を通して、かけがえのない教訓を得ました。
 一つは、粘り強い交渉となんとしても商売を続けたいという熱意が通じたこと、二つは、「納税の猶予」で延滞税を減らし、誠意ある納税者として認めさせたことが融資実現の力になったこと、三つは税金の完納計画を出すことで、「税金滞納を融資拒否の理由としない」を実行させたこと‐です。
 困難を乗り越えたとはいえ、原材料の高騰や生産工場の海外進出など苦境は続きます。
 「私のように困っている人はたくさんいるはず。1人で悩まずに民商に相談してほしい。そのために少しでも力になりたい」と話すOさん。取引先などに声をかけ、商工新聞読者を増やしています。

   
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