「納税の猶予不許可」取消の勝利判決
北海道・旭川民商 工藤軍司さん=美容
滞納になった消費税の「納税の猶予」(注)申請を不当な理由で不許可にされた北海道・旭川民主商工会会長の工藤軍司さん=美容=は先ごろ、札幌国税不服審判所に審査請求を行い、「原処分の全部取り消し」の裁決をかちとり、「納税の猶予」も許可されました。「時間はかかったが、支払えない実態を審判官に分かってもらえて良かった。この経験を多くの仲間に広げていきたい」と決意しています。
工藤さんは、長引く不況で消費税が一括で支払うことが困難となり、06年度と07年度の消費税36万円の「納税の猶予」を08年4月に申請しました。
しかし、旭川中税務署は、申請後に行われた納付能力調査時に第三者の立ち会いがいたことを理由に、帳簿などの確認作業を拒否。08年6月に工藤さんの申請を不許可にしました。
工藤さんは税務署長に対してすぐに異議申し立てを行いましたが、棄却され、08年10月、札幌国税不服審判所に審査請求を行いました。更正処分の理由開示を求め、閲覧を実行。担当審判官が臨店し、代理人として民商の仲間3人がいる中で質問と資料を確認。工藤さんは、消費税が払いたくても支払えない実態を、試算表も用意して審判官に詳細に説明しました。
不服審判所は09年10月、「原処分の全部を取り消す」という全面勝利の採決。理由は「2期連続で法人は赤字であること。そして試算表から、支払えない実態が確認できたため」としています。しかし、税務署の立ち会い拒否については、税務署側の主張を追認する形となっています。
工藤さんは「税務署は第三者がいる下でも、帳簿などをしっかり確認するべきだ。今後のたたかいで是正させたい」と話しています。
(注)納税の猶予(地方税は徴収猶予)
納税者の生きる権利を守るために法に定められた納税緩和措置の一つ。
国税通則法第46条には、災害・病気・事業の著しい損失(利益の減少)で納付困難になった場合など、納税者の申請で納税の猶予をすることができるとあります。猶予事実が認められた場合、「現在納付能力調査」が行われ、納付困難な部分について猶予が認められます。許可されると、督促や滞納処分を受けることがなく、猶予期間中の延滞税(延滞金)年14・6%がゼロないし、4・5%に免除されます。原則1年以内の分納(最長2年)が条件。また、50万円以上の猶予総額の場合、担保が必要とされていますが、国税庁の「取扱要領」は「適当な担保がない場合」などは提供しなくてよいとしています。
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