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  トップページ > 税金のページ > 徴税攻勢 > 全国商工新聞 第2877号 4月27日付
 
税金 徴税攻勢
 

滞納心配する遺書のこして自殺=大阪

人命より税金優先許せぬ―不当性を告発

 固定資産税を滞納し、分納を続けてきた大阪市内に住む男性(80)=貸室=が西南市税事務所の厳しい取り立てを苦に自殺に追い込まれる悲劇が起きました(3月23日)。大阪商工団体連合会(大商連)は3月26日、同市税務部に抗議の申し入れを行い、納税者の実情を無視した違法な取り立ての実態を追及しました。

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大阪市税務部に抗議の申入れを行う大商連の代表
 男性(以下Aさん)は家賃収入の減少などで99年ごろから年58万円ほどの固定資産税を滞納するようになりました。Aさんは市税事務所と話し合い、07年10月から毎月10万円ずつ納付し、滞納を減らしてきました。
 今年1月に住吉民商に入会したAさん夫婦は8日、事務局員と一緒に市税事務所を訪れ、今年分の納付書を求めたところ、担当係長は「もう10万円じゃ話にならない。滞納分700万円(うち延滞金350万円)を耳をそろえて持ってくるくらいでないとダメ。不動産を売却しろとは言わないが、ほかに方策があるなら言ってみろ。破産しても税からは逃げられない」とどう喝しました。
 Aさんらは家計の状況を示し、「夜、清掃のアルバイトもしている。毎月10万円が限界。憲法で最低生活を保障されているはず」と言うと、係長は「私の係とは関係ないこと。あとはあなたの判断だ」と迫りました。
 「納付書をもらうのになんでこんな思いをしなければならないのか」。Aさんらの抗議に係長は3月までの納付書を投げつけ、「3月までに答えを持ってこい」と言い放ちました。
 その後、Aさん夫婦と民商は徴収猶予を申請しようと話し合い、市税事務所に3月25日に出向くことに。ところが23日、Aさんが自宅で自殺しているのが発見されました。妻は「夫は市税事務所に3月で自宅を追い出されると思い込んでいたみたいです。市税事務所が怖いと言っていましたから。遺書には『死んだらアルバイト代も年金も入らなくなる。マンションの収入も少なくならないことを考えるように』とあり、最後まで税金のことを心配していました。あんなに取り立てるから追い詰められてしまったんです」と、悔しそうにつぶやきました。
 大商連は3月26日、市税務部と交渉。「国税の『納税の猶予等の取扱要領』には、納税者から即時に納付することが困難との申し出があったときには、実情を十分調査し、納税者に有利な方向で納税の猶予等の活用を図るよう配慮するとある。こうした手続きを怠り、自殺に追い込んだ罪は重い」と追及。市側は「事実関係を調べ、問題があったなら謝罪する」と答えましたが、未だなんら回答も謝罪もなされていません。
 住吉民商は4月1日に開いた常任理事会で「人の命より税金を優先する行政は許せない」「市税事務所と団体交渉し必ず謝罪させよう」と討議。藤川隆広会長は、団体交渉への参加を多くの会員に呼びかけ、抗議はがき運動などで広く市民に市税事務所の不当性を告発しようと訴えました。

不適切な行政は徹底追及すべき
角谷啓一税理士

 自殺まで追い込まれた大阪の事例は、毎月の分納を実行し、滞納額を少しずつ減らしてきた滞納者に対して、絶対に不可能なことを徴税権力が力ずくで押し付けた末、生じた悲劇です。  なぜ、滞納者の実態を調査し、「納付可能な精いっぱいの分納額」を認定しないのか。仮に、どうしても換価の猶予に該当しないのであれば、「事実上の猶予」として分納を容認する方策を追求しなかったのか、悔やまれてなりません。  この点、法律上の問題というより、むしろ「不適切な行政」の問題として、とことん追及すべきだと思います。
   
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