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  トップページ > 税金のページ > 徴税攻勢 > 全国商工新聞 第2875号 4月13日付
 
税金 徴税攻勢
 

全国で解決!払えない税金は「納税緩和措置」を活用しよう

納税の猶予は積極的に承認する法的義務
北野弘久日本大学名誉教授

 憲法25条は人びとの「健康で文化的な最低生活」を保障している。この25条を含めて憲法は税制のあり方として「応能負担原則」(憲法13、14、25、29条等)を要請。この憲法の応能負担原則は、課税面のみならず、徴収面にも及ぶ。
 課税面では最低生活費非課税の原則、一定の生存権的財産の非課税・軽課税(利用価格×低税率)の原則を要請する。徴収面では人びとの生存権を確保するために、差押禁止財産、条件付差押禁止財産、納税の猶予、換価の猶予、滞納処分の停止などの制度が現行税制の下でも導入されている。ここで問題になっている納税の猶予が憲法上の要請であることを銘記することが大切だ。


 消費税は間接税とされているが、多くの中小業者にとっては消費税は転嫁が困難であって業者負担となっている(間接税の直接税化)。つまり多くの中小業者にとっては消費税は税法上の納税義務者であると同時に、現実の税負担者となっている。この点に関連して消費税の滞納増大の事実に注意する必要がある。巷間いわれる「益税」ではなく、むしろ「損税」となっているわけである。
 現行税制は、災害、病傷、事業の休廃止、事業の著しい損失、以上に類する事情があった場合には納税の猶予をすると規定しているが(国税通則法46条2項)、憲法25条等の要請からいって、ケースバイケースで納税者の諸事情にフレキシブル(柔軟)に対応すべきだ。
 納税の猶予を承認するかどうかが課税庁の裁量に委ねられているわけではない。納税者の諸事情を総合勘案して、一時に納税することが困難と認められる場合には、課税庁はむしろ納税の猶予を積極的に承認すべき職務上の法的義務を負うている。承認しないことの方が職務怠慢、不作為の違法と言わねばならない。
 差し押さえ処分を強行したところで果たして、公売で売れるのかどうか、またいくらで売れるかは不明。多くの場合、当初予想した「換価」が得られないのが通例である。
 それよりも納税者の諸事情に適合した納税の猶予を行い、納税者から実際に分割で納税してもらった方が、税務行政としても効率的であり、得策である。もし、納税の猶予の承認をした後に、正当な理由により納税が困難になった場合には、さらに猶予期間を延期する配慮を行うべきだ。

   
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