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<解説>国税庁通達「滞納処分の停止に関する取り扱い」
事業再建にはげむ業者を積極支援する意義=角谷啓一税理士
「滞納処分の停止に関する取り扱いについて」という国税庁通達が、このほど明らかになりました。これは営業をつづけている事業者であっても滞納処分の執行停止が可能だという画期的な成果(全国商工新聞09年3月9日付2面で報道された)をかちとった根拠となる「通達」です。活用の意義などについて角谷啓一税理士に解説してもらいました。
事業継続中の滞納処分停止は画期的
「滞納処分の停止」(国税徴収法153条)の適用を受けるのは、「滞納処分が執行できる財産がないとき」など、納税者(滞納者)が倒産で休業状態になり、事業実態がなくなっている場合等がほとんどです。
ところが泉さん(08年12月17日、仙台国税局から約350万円の消費税・延滞税の滞納処分停止と約100万円の換価の猶予通知を受け取った)は、苦しいながらも、何とか事業は継続しているという条件の中で処分停止の適用を受けました。通達に基づく措置です。
「財産がないとき」の解釈をひろげて
国税庁は、平成12(00)年6月、「滞納処分の停止に関する取り扱いについて」という通達を出しています。
それによると、「滞納処分が執行できる財産がないとき」の解釈として、「事業を継続していても、次のいずれにも該当すれば『財産がないとき』に当たるものとする」と、解釈の幅を広げました。
具体的には、(1)概ね過去3年間、新規の滞納発生がなく、今後も滞納発生が見込まれず、かつ既滞納税金についても一定額納付していること(2)現金・預金・売掛金等の当座資産以外に適当な財産がないこと(3)その当座資産について滞納処分を執行すると、直ちに事業の継続を困難にするおそれがあること(4)完納までに概ね10年以上の期間を要すること―などです。
この通達は、過去のさまざまな事情の中で滞納を余儀なくされたが、現在は細々経営ながら、納税に誠意を示しつつ、前向きに事業経営(再建)に尽力している滞納者を支援するという積極的意義があります。泉さんの「まじめさ」が認められたということです。
処分停止と換価の猶予をセットで
もう一点、特徴的なのは、処分停止と換価の猶予をセットで処理するという、珍しい措置がとられたことです。全額処分停止するのは徴収上の公平を失するおそれがあると判断したのでしょう。そこで、(1)毎月適正な分納を2年間(延長を含めた換価の猶予期間)は続けてもらう(2)残りの滞納額については処分の停止を行う‐という判断(裁量)をしたものと考えられます。
泉さんのようなケースの場合、今後、処分停止と換価の猶予をセットで処理する方向を意識的に追求していくことが大事です。現場でのたたかいと、上級庁に向けた意見具申が重要であることを示しています。
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