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横暴な税務行政とたたかって多くの成果挙げた民商の1年
立正大学教授・税理士 浦野広明
全国の民主商工会(民商)はこの1年、横暴な税務行政とたたかい多くの成果を挙げてきました。「納税者の権利を守る民商の役割がますます重要」と浦野広明立正大学教授(税理士)がコメントを寄せてくれました。
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納税者の権利を守って機敏に抗議行動を展開
全国の民商の皆さんは、国税当局のノルマ主義を背景にした強引な税務調査が横行するなかで、この間本当によく奮闘してきたと思います。
大阪・泉南民商は10月、泉佐野税務署の署員が勝手に戸棚や引き出しを開けるなど青果業者に不当な税務調査を強行した問題で機敏に行動し、任意調査を逸脱しているとして税務署に謝罪させました。
京都の北村人権裁判(98年確定)のように、こうした違法な調査は、憲法17条の国家賠償請求訴訟ができるだけでなく、家宅侵入罪、公務員の職権乱用罪など刑事罰で告訴することも本来可能なものです。納税者の権利と税務調査の本来のあり方を確認した点で大きな成果でした。
広島・竹原民商は9月、「税務運営方針は書いてあるだけの話」と署員が言った問題で徹底的に西条税務署を追及し、謝罪させました。憲法や税務運営方針について、本音は正反対の公務員や税務署員が多いのです。税務運営方針は、納税者のたたかいの運動でかちとってきたものです。
税務署の不当な行為に対し、常に納税者の権利を学んで、税務署の不当な行為に機敏に抗議し、納税者の権利を主張していくことが大切です。この点で民商と商工新聞の役割がますます大切になってきていると思います。
納税の猶予をかちとる点でも大きな前進がありました。埼玉・川口民商は8月、家族の要介護を理由に納税の猶予を認めさせました。
また、経済的理由による納税猶予認定も広がっています。不況が深刻化するなかで、滞納者がますます増えることが予想され、猶予の対象となる理由を広げるたたかいが大切になっています。
消費税にしろ、所得税にしろ、応能負担原則に反する税金が幅を利かし、滞納増につながっています。憲法の応能原則に反する人災によって滞納という被害を受けているということです。
納税の猶予を認めさせる運動と同時に、こういう状況を生んでいる政治的な背景への怒りを広げていくことが大切です。「悪政の下での滞納」という本質をつかんで、たたかいに立ち上がることが求められます。
その最たるものが麻生首相と自・公が3年後にたくらんでいる消費税増税です。たたかいをいっそう前進させようではありませんか。
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