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「任意調査」を逸脱する不当な税務調査を強行
大阪・泉南民商の抗議に違法性を全面的に認め謝罪
大阪府泉佐野市で8月、税務署員が納税者の承諾を得ることなく、勝手に戸棚や引き出しを開けて書類などを持ち去り、反面調査を強行するという、違法・不当な税務調査が発生。相談を受けた泉南民主商工会(民商)の3度にわたる機敏な抗議行動に対し、泉佐野税務署の総務課長は9月30日、納税者の承諾に基づく「任意調査」(注)を逸脱した税務署員の一連の行為の違法性を全面的に認めて謝罪し、持ち帰ったすべての資料を返還しました。
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大阪・泉南民商の交渉団(向かって右端がHさんの妻)に謝罪する泉佐野税務署の総務課長ら(手前右側) |
Hさん=青果=が「税務調査に伺いたい」と税務署員から電話を受けたのは8月中旬。来店した統括官は8月27日、一緒に来た女性税務署員に「その戸を空けて全部出せ」「そこに何が入っているんや」と指示し、戸棚や引き出しの中にあった伝票、納品書、書類を出して机の上に山積みにしました。
さらにレジ、エプロンのポケットまでお金が入っていないかと調べ、Hさんの妻にお金を全部数えさせました。Hさん夫妻はただぼうぜんと直立不動の状態に。
統括官は「18年分の資料は家にあると言ってたやろ。一緒に行って確認してこい」と女性税務署員に指示。妻は「家が散らかっているので嫌です」と何度も断りましたが、統括官は「虚偽なら罰せられるよ」と脅かし、自宅まで車で案内させました。そして預かり証を書き、経理に関係のない資料まで税務署に持ち帰りました。
その後、税務署がHさんにはまったく断りなく取引先への反面調査を行っていることも分かり、「こんなひどい税務調査は許せない」と民商に相談し、入会しました。
Hさんは9月30日、民商の役員らと一緒に税務署へ申し入れ抗議。総務課長は、2人の税務署員が何の断りもなく、勝手に戸棚やあちこちを開けて調べ回った事実をおおむね認め、任意調査を逸脱し、「納税者に多大な迷惑をかけた」と謝罪。反面調査についても取引先の信用を大きく失墜させたことを謝罪し、担当した統括官からの直接の謝罪を約束。反面調査の対象名とその回答資料などを求めました。
民商では「かつてないめちゃくちゃな税務調査。徹底して責任を追及していこう」と話し合っています。
(注)任意調査とは
通常の税務調査は「任意調査」であり、国税庁「税務運営方針」が述べるように、納税者の理解と協力の上で進めるものです。98年に確定した北村人権裁判で大阪高裁は、納税者の承諾に基づかない、税務署員の質問検査権の行使(税務署員の行為)を「違法」と断罪し、国に50万円の罰金を命じました。 |
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