年金受給者扶養申告書 番号記入強要やめよ
「未記載も受理、不利益ない」 国税庁・年金機構・厚労省が回答
年金受給者が提出する扶養申告書に個人番号が記載されていなくても申告書を受理することを求めた日本年金機構などとのヒアリング
年金受給者が所得税の扶養控除などの適用を受けるために提出する申告書にマインバー(個人番号)の記載を求められている問題で、全国商工団体連合会(全商連)は13日、国税庁や日本年金機構、厚生労働省にヒアリングを行い、全日本年金者組合、東京土建一般労働組合、全国保険医団体連合会、全国労働組合総連合など20人が参加しました。
全商連など不当事例ただす
「番号が記載されていなければ、扶養申告書は受け取らないのか」の質問に対して、日本年金機構は「番号が記載されていなくても扶養親族等申告書は受理し、罰則や不利益もない」と明言しました。年金機構を所管する厚労省も同様の回答をしました。
番号を未記載で返される事例も
問題になっている書類は「平成30年分 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」と「個人番号申出書(平成29年分扶養親族等について)」(どちらも9月29日提出期限)。扶養控除対象者の個人番号の記載を求め、個人番号が記載されていない場合、「申出書をお返しします」と記され、「手引き」にも「記入漏れがある場合や提出がない場合は、扶養控除等の適用が受けられず、所得税等が多く源泉徴収されることがあります」の注意書きがされています。
年金受給者から「番号を書かなければ不利益があるのか」などの問い合わせが年金者組合や民主商工会(民商)などに殺到していることから、ヒアリングを要請したものです。
対応ばらつきに「周知徹底」約束
参加者は「年金ダイヤルに電話をした時、担当者から番号未記載が続くと来年2月から課税するとはっきり言われた」「年金事務所によって対応が違うので混乱している」「番号が記載されていなくても、扶養申告書を受理することをはっきりと書くべき」と訴えました。
年金機構は「数多くの問い合わせがあり、誤解を招くような表現になっていた」ことを認めた上で、「番号が記載されていなくても書類を受け取ることを含め、Q&Aを各年金事務所にメールで通知した(12日)。番号未記載だけで申告書を受け取らないのは誤りなので正したい」と答え、「年金機構のホームページでもメール内容をアップする」ことを確認しました。
参加者は「番号未記載者に扶養申告書を返送するのは税金の無駄遣い。返送はやめるべき」と強く訴えました。
また、扶養申告書に個人番号が記載されていない場合、税務署が書類を受理せず、控除が受けられないと年金事務所が主張している問題をただしました。国税庁は「個人番号が記載されていない場合でも必要な事項が記載されていれば、扶養控除申告書が提出されたものとして税額計算を行っても差し支えないとしている。番号が記載されていなくても罰則はない」と回答しました。
ヒアリングには日本共産党の宮本徹衆院議員、和泉なおみ都議が同席しました。
全国商工新聞(2017年9月25日付)
|