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道交法改正試案 撤回求め警察庁へ意見書 「店も同罪」納得できない |
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飲酒運転問題で話し合う山形民商の料飲業者の仲間 |
飲酒運転への罰則を強化する道路交通法改正試案を昨年末警察庁がまとめました。しかし、酒類を提供した者も飲酒運転を助長するとして同等の罰則を設けたことから、料飲業者から怒りの声が相次いでいます。改正案への意見募集には全国商工団体連合会(全商連)や日本弁護士連合会も意見書を出しました。山形民主商工会(民商)は、警察庁に料飲業者の声をまとめて届けようと料飲業者の集まりを開きました。
山形民商が開いた飲食業者の集まりには5人が参加。改正案に対する意見をまとめ、警察庁に送付しました。
まず、飲酒運転をなくすとりくみについて討論。「車で来た方には一切飲ませないようにし、預かった車の鍵を直接代行業者に渡す」と言う焼き鳥居酒屋のLさんは、「お金払って飲みに来ているのに、なんでうるさく言われるんだと言われた。うるさい店にはもう行かないと言われ、遠くのお客さんは減った」と深刻でした。
居酒屋(魚料理)のWさんは「飲酒運転撲滅のポスターを張って訴えているが、それ以上に突っ込んだことをすると、必ずトラブルに。飲酒問題の報道で売り上げが落ち込み、前年度比で25%のダウン。死活問題」と話していました。
「車両提供者も同等の罰則を受ける」点は、「いったん帰宅して酒を飲んでいて気が変わって会社に戻り、会社の車で帰って事故を起こした場合まで、管理が甘いと処罰するのは無理がある」との意見が出ました。
酒類の提供者が飲酒運転した者と同等の罰則を受けることに異議が続き、「車を運転して帰るかどうかまでは、とても管理できない」「むしろ、飲酒した人が運転できないような観点の防止策を考えるべき」「刑事罰を科すとなった場合、事故が起きたら、民事上も莫大な賠償責任追及につながる」との声が出ました。
「飲んで運転する恐れのある者をどうやって識別するのか」「結局免許証を持っている人には酒の提供ができなくなる」「これでは酒類の提供が恐ろしくてできなくなり、営業が成り立たない」と怒っていました。
「トラブルや売り上げ減少を覚悟で、飲酒運転撲滅のために努力しているのに、責任を負えないことまで『飲ませたお前が悪い』とするのは納得できない」「店はやすらぎの場なのに、これではお客さんの自己判断・自己責任でおこなわれるべきことに店が口出しすることになり、お客さんが不愉快な気持ちで帰ることになる」と言います。
民商では、罰則強化は異議がないものの、「飲酒運転をする恐れのある者に対する車両提供等の禁止」の新設には撤回を申し入れる意見を警察庁に出しました。
(山形・佐藤明通信員)
道路交通法改正試案(要旨)
飲酒運転した者への罰則を強化する内容で懲役・罰金を大幅に引き上げるとともに、「飲酒運転をする恐れのある者に対する車両提供等の禁止」を新設。飲酒運転する恐れのある者に酒類を提供した場合、飲酒運転した者と同等の罰則(酒酔い運転=5年以下の懲役または100万円以下の罰金、酒気帯び運転=3年以下の懲役または50万円以下の罰金)を設けた。今年の通常国会で提案の予定。
全商連も意見書
全商連は1月10日、「飲酒運転をするおそれのある者に対する車両提供等の禁止」について三つの理由から新設に反対し、撤回を求める意見書を送付しました。なお、全文は全商連HPに掲載しています。
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