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  トップページ > 業種のページ > IT・サービス > 全国商工新聞 第3299号2月12日付
 
わが業界・地域の抱負と課題
 

出店攻勢でコンビニ飽和=@高知県内から実態レポート

店主「3年間休みなし」も
 全国で5.5万店を突破したコンビニは今や社会に欠かせないインフラとして存在感を高めています。フランチャイズ(FC)店は約19万店舗(1998年)から約26万店舗(2015年)に、売り上げは約16兆円から24兆円に増加しました。「現在の奴隷契約」とFC契約が社会問題となり、その解決をめざし全国FC加盟店協会(旧、コンビニ・FC加盟店全国協議会)が1998年に結成されてから今年は20年となる節目の年。高知県内のコンビニ店の実態をリポートし、「FC問題の現状と課題」について改めて考えます。(関連記事はこちら

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改善進まないFC契約
生活はぎりぎり

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高知市内のコンビニ店

 いつかは独立自営の事業を起こしたいという思いを実らせて、3年前、高知市内で大手チェーンのコンビニ店を開業したAさん(59)。「思いのほか現実は厳しかった。3年間1日も休んでいない」と話します。
 元手が少なくても開業できるという契約内容を選択。土地・建物、内装設備工事費も本部が用意するもので、加盟を希望するオーナーが準備する必要資金は300万円です。「同居夫婦、または同居する三親等内の親族2名が専業できる」が条件になっています。Aさんは夫婦で2店舗を経営、パート・アルバイト従業員20人で運営しています。2店舗経営は本部が推奨しているもので、2店舗目は加盟金もなしで本部フィー(ロイヤルティー)が減額されるので経営上有利とされています。

廃棄ロスにフィー
 本部に支払うフィーは、「営業総利益=商品総売上高-売上原価+営業収入」の59%(300万円未満の部分の59%、300万円〜550万円未満の部分63%、550万円以上の部分69%)。Aさんは「フィーを払い、人件費をはじめとする諸経費や廃棄ロスを負担すると、なんとか生活ができるぎりぎりの状態」と厳しい経営実態を明かします。
 日々の日販は、2店舗で約70万円。売り上げが上がる店舗は、その分、人件費もかかる上、イベントなどに対応して仕入れなども増やしますが、その分ロスも増えるので、売上増が利益増には必ずしも直結しません。
 廃棄ロスにもフィーがかかることは問題だと、コンビニ会計が訴訟になったこともあり、今日多くのチェーンで改善が図られています(注)。
 Fチェーンでは、「廃棄ロス助成金」として一部を本部が負担。このほかにも「水光熱費助成金(360万円以下の部分の90%)」や「店舗運営支援金(月10万円)」なども設けられています。
 しかし、Aさんは「助成金や支援金なども創設されたが、その分フィーが上がったので、前の方が良かったかもしれない」と本部の対応には懐疑的です。「ゴミ処理料は月々7万5000円にもなりますが、自分で処分場に持ち込むなどで経費節減にも努めている」といいます。

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深刻な人手不足
 今、最も悩ましい問題は人手不足です。「責任感のあるパート・アルバイトなど確保するのは難しい。穴があくこともしばしばで、その時はオーナーが入らざるを得ない」とAさん。夕方5時から夜11時までと早朝4時半から午前11時までの2シフトを、妻が朝6時から夕方までを、365日こなしています。
 「1日も休めず、朝4時には起きないといけないのでゆっくり寝れる日がない。その上、夜間は採算も合わない。人件費の持ち出しだけでも30万円は超える。24時間営業をやめることができれば大分楽になる」と話します。
 さらに、Tポイントカードなど本部から新たな負担の押し付けも店には「200円につき1円の負担」を迫られ「1カ月にすれば5〜6万円にもなり、ばかにならない」と憤ります。
 香南市で別の大手チェーンに加盟するBさん(60)も、「この1年休んだことがない」と話します。高齢化が進む人口減少地域で、年間を通せば業界平均水準の売り上げを維持していますが、競合店や他業界からの小売業への展開もあり、競争は激しさを増しています。
 「募集をかけても人が確保できない」との悩みは共通です。夫婦2人と従業員10人で回しますが、「夜の10時から朝の10時まで、毎日、年間休みなく入っている」と言います。
 経営上利益を確保するには、人件費か廃棄ロスを削る以外にありません。Bさんは「廃棄ロスを減らそうと仕入れを抑えると、お客さんから見れば『いつも欲しいものがない』魅力のない店になってしまい、尻すぼみに。だから人件費しかない。少しでも人件費を浮かそうとすれば、長時間勤務になってしまう」と話します。

加盟店経営守れ
 「加盟店にとってもう少し利益が出るような仕組みにしてほしい」―。Bさんは「日販30万円くらいでも経営が成り立つようになれば、地域のためにもっといろいろなことが考えられるようになる」と話し、チェーン本部へ地域的特性を踏まえた商品開発・展開への期待を寄せます。コンビニが地域で支持されるためには、どこにでもある商品ではなく、地域の人々が求める商品が必要と考えるからです。
 24時間営業の問題についても「夜10時以降になると車も通らなくなり、社会的な必要性があるように思われない。時代も変わり、コンビニが24時間開けている意義はなくなっているのではないか」と改善を求めます。

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FC規制法こそ
 本部の利益が拡大する一方、オーナーの経営状態は過酷さを増し、不採算店の淘汰が進んでいます。本部と加盟店の関係を規制する「フランチャイズ規制法」制定や出店規制などを提言する高知大学の岩佐和幸教授のインタビューを紹介します。

(注)セブン・イレブン・チャージ訴訟
 「コンビニ会計」の合法性が争点に。加盟店が本部に毎月支払うチャージは、「売上高―純売上原価(仕入れた全商品の原価ではなく、実際に売れた商品の原価のみ)」×チャージ率(加盟者が土地・建物を用意する場合43%)という式により計算される。廃棄商品の原価は加盟店が負担するため(現在は本部も15%負担する)、加盟者の負担は非常に重い。2007年、最高裁では違法ではないとされたものの、説明が分かりづらいとの補足意見が付いた。

全国商工新聞(2018年2月12日付)

   
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