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  トップページ > 業種のページ > IT・サービス > 全国商工新聞 第2861号 1月5日付
 
わが業界・地域の抱負と課題
 

今年の抱負と課題 わが業界わが地域





力を合わせる大切さ 国の根本を変える時

岩手県レンタカー協会会長 松坂陽子さん

 今どこの会社も不況で四苦八苦しています。スーパーも飲食店もみんな同じ、楽なところはないですよ。原油高騰で燃料の軽油は4年前に比べ2倍になりました。今、少しは落ち着いてきていますが、高止まりのままです。
 岩手県レンタカー協会に加盟しているのは60社ほどです。レンタカーの燃料代はお客さまが払うので、ストレートに影響が出るわけではありません。ただ利用者数は減っています。
 影響が大きいのは観光バスですね。燃料が上がったからといって、料金にすぐ転嫁できるわけではない。ところが、旅行会社からバス料金を下げてくれと言われたら、「はい、それまでよ」ですよ。
 といっても国や県にお願いするだけではどうにもならない。だって麻生首相はわれわれ平民の暮らしや大変さを知りもしないでしょう。
 カップラーメンを1個400円と言ったりするわけですから。豆腐や納豆の値段も知らないでしょうね、きっと。そういう人が今の日本のかじ取りをできるのでしょうか。だから消費税を3年後に上げようなんていう言葉が平然と出てくるわけです。
 消費税というのは大手の会社と違って中小の企業は簡単に価格に転嫁できない。転嫁すればお客さんが減るわけですよ。それをさらにアップするというわけですから、やっぱり庶民の痛みが分からない人ですね。
 燃料が高くなっても運賃は上がらない。物価は上がっても給料は下がるばかり。みんな耐えています。でも耐えているだけじゃダメ。大変な時だからこそ、力を合わせることが大事なんです。もう国の根本を変えていく時ではないでしょうか。

何ができるか考える それが展望開く力に

東京都製本工業組合副理事長 常川和勇さん

 紙を束ね一つにするのが製本。雑誌や本、そのほかノートやカレンダー、伝票なども製本製品です。出版・印刷を担う大事な産業です。全国の製本工業組合に約1000社が加盟していますが、771社が東京製本工業組合加盟です。
 パソコン、インターネットの普及で紙媒体情報の伝達が減少し、雑誌・書籍部数や企業パンフ・カタログなどが減り、仕事量が減っています。出版・印刷産業自体が衰退しているのに加え、印刷会社による内製化や人口減少で製本会社の仕事は減り続けるでしょう。従業員が平均11人以下、4〜5人の家族経営も多く、廃業が相次ぎ会員企業は減っています。
 そのなかで組合は、情報交換会や勉強会の開催、技術者養成の高等技術専門学校を運営するなど、会員企業への手助けをしています。
 しかし企業の存続は、結局経営者の力量にかかっていると思います。衰退産業だ、仕事の減少だと嘆かず、仕事をつかみとっていく努力です。紙や本がなくなることは絶対にありませんから。例えば、他社がまねできない高い技術を持つ、設備投資をする、積極的に営業するなど。単価改善も選択肢です。
 私の会社は、技術を売りにしています。単価引き下げの要望もありますが、「その単価ではできません」と、はっきり言います。それでも、仕事を評価し、依頼してくる方がいます。よい仕事を続けるための投資もしています。新卒者を正規雇用し、紙折り、裁断、のり付けなど全工程を覚えさせています。派遣社員では、技術継承はできません。
 何ができるかを考える。それが製本業界の展望を開いていく力になると思います。

野菜が根張るように 地域に生きる店こそ

神戸フランス料理研究会顧問 井上康司さん

 和・洋を問わず、おいしくて安全・安心な食材をおいしくお客さまにいただいてもらうのが料理の基本です。ところがここ数年、汚染米をはじめウナギや肉など輸入食材の偽装が相次いで発覚しています。有名料亭の食品偽装も問題になりましたね。
 でもこれは、ひとごとではありません。料理をする側にとっても反省すべきことは多い。
 料理は、お客さまの口に入るものです。ちょっと大げさかもしれませんが、命を預る仕事でもあるわけです。
 私たちの研究会は03年に結成されて15年になります。ホテルの総料理長やオーナーシェフなどが会員で、フランス料理の研究が目的です。全国組織(フランス料理全国連絡協議会)もあるんですよ。
 料理の講習・研究はもちろん、経営問題、食品偽装問題などについても積極的な意見交換・交流をしています。とりわけ今重視しているのが、安心・安全な料理作りです。有機野菜を栽培している農家と一緒に研究会を続け、堆肥の作り方も勉強させてもらっています。
 仕入れにしても受け身ではダメです。料理を作るだけでなく、料理の素材にも目を配ることが大事ですね。
 料理は日進月歩です。とどまっていては生き残れません。しかし目先だけを追っても本物にはなれない。もうけ主義に走ったお店がどれほどダメになったか。従業員を大事にしない店はいずれ料理も崩れていきます。
 日々の努力に勝るものはありません。野菜が根を張るように地域に根を強く深く張ったお店こそ、景気の波があっても崩れないものです。
 95年の阪神大震災の時、私の店ですべての食材を放出して炊き出しをしましたが、それを支えてくれたのも、長年、付き合いのあるプロパンガス店でした。お客さまを大事にしながら地域に根を張る。それでこそ、お店にも深みが出てくるのではないでしょうか。

成長産業の漁業育成 支える政治や社会を

JF全漁連常務理事 長屋信博さん

 漁業者は昨年、世界的な原油高の影響をモロに受けました。漁船の燃料であるA重油が4年前には1リットル30円台だったものが、125円に跳ね上がる。4倍ですよ。「もう廃業するしかない」という声が出されるほど追い詰められたわけです。
 その打開のため昨年7月、全国一斉休漁を実施しました。全国で20万隻が参加しました。これほどの規模での休漁は歴史上初めてのことでしたね。
 国も特別制度をつくり、今やっと一息入れています。原油高も落ち着きをみせていますが、それでも1リットルあたり90円台。採算ラインは、50〜60円台ですから、まだ気が抜けません。
 私たちは、漁業は成長産業だと考えています。世界的にも魚の需要が高まっています。しかも日本の魚にはステータスがある。世界有数の漁場もあります。
 ところが、水産物の自給率は70年代までは100%を超えていたものの、輸入水産物の増大で、今では58%にまで低下。不漁であっても魚価が高くなるどころかむしろ安くなってきている。経営が安定しないわけです。沖合漁業などは、現在使っている船がダメになれば、もう買い替えできないほどです。
 漁業そのものを元気ある産業にしたい。そのためには漁業資源の維持と後継者の育成が大事だと考えています。それに漁業は生産だけではなく、多面的な機能をもっているんですよ。海の情報提供に加え、環境保全もその一つ。また、漁業が地域を支え、地域が漁業を支えてきた歴史もあります。これは農業も中小業者も同じではないでしょうか。
 漁業は自然が相手です。好・不漁があります。効率化だけでは測れないものがあります。額に汗したものが報われる漁業、そのための環境づくりに私たちも努力しますが、政治や社会もそれを支えてほしいと願っています。

   
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