小規模基本法を生かして 商売発展の道切り開こう=静岡県連
静岡県商工団体連合会(県連)は4月26日、静岡市内で第24回商工交流会を開催し108人が参加しました。「小規模企業振興基本法」(小規模基本法)を生かす行政をめざしながら、中小業者自らが商売発展の道を切り開く力をつけようと、講演や分科会、講座で学び合いました。
マーケティングについて学び、商売を伸ばす力をつけようと話し合った静岡県連の商工交流会
静岡県立大学経営情報学部の岩崎邦彦教授が「小さな企業を強くするマーケティング」と題して基調講演。「マーケティングは、今ある商品を売り込む『販売』と違い、『顧客が求める価値』と『どうしたら買いたくなるか』を分析し提案・提供していくこと」と説明。忘れてはならない「中小企業の3絞り」として、「顧客の要求を明らかにし商品を絞る」「想定ターゲットを絞る」「知恵を絞る」ことを紹介しました。
また、個性ある中小規模店の顧客満足度は大規模店を大きく上回っている調査結果を示し「今の時代、感性・専門性・質などを追求できる小規模店にチャンスの風が吹いている」と参加者を激励。特に、自分の商売にとっての「シンボル」をつくることが重要で、核となる商品がある企業はない企業より業績が良い割合が大きいことを示し、共感が広がりました。
午後は、四つの分科会と講座に分かれて交流しました。
「卸小売・サービス・飲食」では、弁当店を営む辻村紀和さんが発言。「弁当屋で天下をとれるか」と開業した経緯や、インターネットでの受注増で昨年は一番売り上げが良かったこと、大手との差別化など生き生きと語りました。参加者も「お客さんに好きなカップを選んでもらいコーヒーの入れ方にもこだわっている。リラックスできる場所と楽しい会話で心からのおもてなしが商売のシンボル」(喫茶店)などと交流しました。
「元気な商売!新製品・アイデアなど」では加藤とみ子さん=農業=が「こだわりのイチジクは全て予約販売。倉庫を改築し、農業体験で取れた野菜で食事をしたり料理教室を開いている。観光会社がバスツアーを企画し宣伝してくれている」と発言。「時代と顧客の要望にあった看板を提案し、長く商売を続けたい」(看板)など発言が続き、商売への思いを再認識しました。
「建設業の展望と仕事おこし」では、参加者が営業方法などを紹介。小規模修繕希望者登録制度や住宅リフォーム工事助成制度が中小業者の仕事増と地域活性化に結び付いている事例を話し合いました。
「小規模基本法を中小業者のために」の分科会では、「追い風を中小業者の経営にどう生かすか」をテーマに討議。「政府は中小零細業者を無視できなくなり法律がつくられた。ものづくりや店舗への助成などを学び、制度をつくるための話し合いのテーブルに民商が着けるよう働きかけることが大事」と前向きな意見が出されました。
「『融資獲得!』SWOT分析で作る経営計画書」をテーマに講座も開催。融資などで金融機関から審査される点などについて学んだ後、「新規開業計画書」「融資申込書」に記入しました。参加者は「商売の環境や将来を分析することは難しい。お客から意見をもらうことも必要」と話していました。
また、会場内の製品展示・商売PRコーナーは「実際に作っている人に話を聞ける、これこそ商工交流会」と好評で、仲間の仕事風景などの写真展示にも「普段見られない仕事場の様子や、商売に取り組む生き生きとした笑顔に励まされる」と感想が寄せられました。
全国商工新聞(2015年5月25日付) |