生かそう小規模基本法 中小業者は雇用の担い手
大企業頼みから脱却を 懇談で市長前向き=岩手・一関
小規模事業者への支援強化を訴えた一関民商と勝部市長らとの懇談
岩手・一関民主商工会(民商)は2月3日、勝部修・一関市長らと懇談し「小規模企業振興基本法」(小規模基本法)に基づいた小規模業者への支援強化を求めました。民商から小野寺喜久雄会長・菊池郁朗副会長・伊藤静子会計など4人が参加。市長はじめ小野寺康光商工労働部長ら4人が応対し、企業誘致政策からの転換や小規模事業者の実態調査の実施などに前向きな姿勢を示しました。
小野寺会長が「商慣習が大きく変化したことに伴い、多くの小規模業者が廃業に追い込まれている。地域から雇用の場が失われ、コミュニティーの衰退が進んでおり対策は急務。ぜひ小規模基本法の実践を図っていただきたい」と要望し、28項目の要請書を手渡しました。
勝部市長は「小規模業者が地域で担っている役割は、霞ケ関が思っている以上に大きい。(官僚の)認識の不足が業者の減少、地域の疲弊を招いたことは否定できない」と従来の政府の取り組みを批判しました。
また、これまでの誘致企業依存型の経済振興について「企業を誘致しても以前ほどの雇用は期待できなくなった」とし、地場の小規模業者が雇用の受け皿になるよう支援を行っていく必要があると変化を示しました。
市長は「小規模企業を元気にするために国・県や市長会との連携を図っているところ。09年に制定した『一関市産業振興基本条例』と、それに基づいて設置された『産業振興会議』からの提言に基づき、農産物の販路拡大や企業間の連携を進めており、今後も続けていきたい」とし、小規模基本法の実践に意欲を示しました。
小野寺会長は、市内にある5613事業所のうち、91%は従業員20人以下の小規模事業所であることを指摘。「経営状況が十分に把握されていないことが多いので、施策の実効性を高めるためにも全事業所に対する調査を実施してもらいたい」と求めました。
市長は県職員時代に勤務した釜石市の例を挙げ、「公務員は地域の産業のことを良く分かっておらず、『新日鐵があればそれでいい』といった姿勢だった。その結果、高炉の火が消えたら同市の産業は一挙に衰退してしまった。これは大きな教訓だと思う」と応え、民商の要望に理解を示しました。
要望項目については、各部・課と個別的に懇談し、民商と連携しながら実現の可能性を探っていくことを確認。小野寺会長は「小規模業者振興に、市長から前向きなメッセージが示されたことは大きな収穫。民商の要望と重なり合うところも多く確信を得た。今後も積極的な提言を行い、中小業者が安心して営業に打ち込める市政をめざしていきたい」と話しています。
リフォーム助成継続 県連の要請実る=秋田
県議会議長にリフォーム助成制度の継続を求める要請書を手渡す小玉会長(右、14年12月)
秋田県は2月2日、2015年度予算案を発表し、住宅リフォーム助成事業について10億3000万円を計上し、継続することを明らかにしました。補助戸数は9000戸。県内に本店を置く建設業者が施行する、50万円以上の工事に対し、費用の10%を15万円を限度に助成するものです。
秋田県商工団体連合会(県連)は、昨年12月に堀井啓一副県知事と懇談。県議会議長に要望書を手渡し、県議会の8会派に届けるなど他団体とも協力しながら繰り返し事業の継続を求めてきました。
秋田県のリフォーム事業は2010年度より開始。前年度以前に補助を受けていても、工事箇所、内容が異なる工事を行う場合は再度対象になります(合計補助金額は15万円)。14年度の実績は受け付け件数が9300件を超えており、独自にリフォーム助成事業を実施している市町村からも継続の要望が強く、昨年度拡充された内容での継続が決まりました。
秋田県連の小玉正憲会長は「消費税増税などで経営への不安が高まっている中、住宅リフォーム助成の継続が決まり、仲間も大変喜んでいる」と話しています。
全国商工新聞(2015年3月2日付) |