第8回中小企業のまち民間サミット〜地域振興めざす運動交流
全国の草の根の運動を交流した民間サミットの全体会
「第8回中小企業のまち民間サミット」(民間サミット・実行委員会主催)が4、5の両日、東京都大田区で開催されました。金属加工を中心とした中小企業・業者が集積する10都府県15行政区から、中小業者、公務労働者、民間労働者、議員など174人が参加。民主商工会(民商)からも多数が参加しました。仕事の減少や後継者不足、ネットワークの崩壊、住宅と工業の共生などの問題とともに地域経済の振興をめざす運動を交流しました。
東京・蒲田民商の萩島実会長=印刷=が歓迎あいさつ。
全体会では大企業の海外進出などで日本のものづくりの基盤が崩壊されようとする中、工場が集積する地域を存続させようとする活動を通じてかちとった成果を報告し合いました。
各地で成果
蒲田民商の中里俊男事務局長は、大田区で町工場の存続を直接助成する「ものづくり緊急支援事業」が実現したことを紹介。支援で「社長が元気になり、また新たな仕事おこしにもつながっている」と話しました。
東大阪市からは、東大阪東部民商の丸谷賢治事務局長が、市長選挙(2010年)に向けた市内の全工場訪問の取り組みを報告しました。「選挙には負けたけれど、町工場のリアルな実態をつかんで提案した『住工共生条例』や『振興条例』の制定を市が約束するなど大きな変化が生まれている」と、建設的提案の重要性を強調しました。
長野県商工団体連合会(県連)の竹内哲雄事務局長は、再生可能エネルギーを利用した仕事おこしを紹介しました。
東日本大震災からの復興をめざす宮城県気仙沼市からは、気仙沼本吉民商の千葉哲美事務局長が「借金をしないで復興しよう」を合言葉に「中小企業等グループ補助金」の活用を呼びかけ、補助金を獲得したことや市にも小規模の復旧工事への助成制度をつくらせた経験を報告。中小業者が地域の復興・復旧の先頭に立って頑張っている様子を生き生きと語り、参加者から大きな激励の拍手を受けました。
7つの分散会に分かれて討論を行い、参加者はリフォーム助成、公契約条例制定、仕事おこしの運動などを交流しました。
アピール採択
2日目の全体会では(1)東日本大震災の復旧・復興は、くらし・生業を最優先させるよう要求する(2)消費税増税、TPP参加を阻止し、ルールある経済社会をつくる(3)中小業者、労働者を直接支援する制度をつくらせるなど、労働者の雇用と中小業者の営業を守るたたかいをさらに発展させようとアピールを採択しました。
兵庫県中小商工業研究所から参加した近藤義晴・神戸市外国語大学名誉教授が、民間サミットには中小業者と労働組合、公務員など、さまざまな分野の勤労者が参加していることを評価しました。また、後継者を問題では「町工場の経営環境が悪化し、後継者を育成する余裕がなくなっている。取り引き関係など背後にある経済ルールとの関連で考えるべき」と感想を述べました。
▼民間サミット
不況が深刻化する97年、東京都大田区、東大阪市など、中小企業が集積する都市の自治体首長、商工会議所会頭・会長が「中小企業都市サミット」を開催。それに対応し、東京・大田区内の民商や労働組合などで構成する「不況打開大田区実行委員会」が、該当する10都市の運動団体に呼びかけて、97年5月に「第1回中小企業のまち民間サミット」を開催しました。労働者、中小企業者、公務員などが参加しています。
全国商工新聞(2012年2月20日付)
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