再生可能エネルギーが地域を変える(3) LED防犯灯6000基 地元企業に発注=長野・飯田市
広大な敷地に広がる「メガソーラーいいだ」の太陽光パネル
飯田市を走るJR飯田線天竜峡駅からタクシーで約10分。小高い丘の上には敷地面積約1・8万平方メートル(テニスコート27面分)の広大な土地に、太陽光パネル4704枚を設置した「メガソーラーいいだ」が広がります。市が中部電力と共同する事業で、2011年1月28日から運用を開始。年間発電量は約100万キロワット時、市内の一般家庭300世帯分に相当する電力をまかないます。
市地球温暖化対策課の飯島剛課長は「メガソーラーやおひさま0円の共同も、エネルギーの地産地消を図る狙いがある。『おひさま』と『もり』のエネルギーを活用し、環境と経済の好循環のまちづくりを進めていく」と強調します。
国の環境モデル都市に09年に認定された同市は、2050年までに05年比で温室効果ガス排出を70%削減する目標を立て、多彩な施策を推進。木質ペレットのストーブ・ボイラーの導入を補助する施策などで木質バイオマスの利用拡大を図るとともに、地域住民を主体とした小水力発電の事業化に向け、調査研究を進めています。
めざしているのは地域主権による3Eの統合的取り組み。(1)エネルギー(Energy)の低炭素化と安定供給(2)産業活動(Economy)の低炭素化と安定成長化(3)自然の営み(Ecology)と共生する持続可能な暮らし―です。
低炭素型企業活動の推進では、09年度に地元の共同受注企業グループ「ネスク‐イイダ」(中小企業66社)にLED防犯灯を発注。15年までに市内にある約6000基の防犯灯をLEDに切り替えることにしています。水銀灯照明に比べて消費電力を約3分の2に低減し、CO2削減と長寿命化を実現。大手の製品(1基約6万円)と比べて価格も4割弱に抑える開発に成功しました。
地元の中小企業が共同して作った省エネのLED防犯灯
製品開発も
同グループの窓口として企業チームを編成し、ビジネスに結びつけるオーガナイザーの木下幸治さんは「下請けから自立型企業をめざす共同の第一歩。各企業の得意分野、技術力を結集すれば新たな可能性が開ける」と笑顔です。さまざまな製品開発と合わせて、現在、地域の集落ごとに利用できる小水力発電機の開発にも挑戦していると言います。
環境を重視した取り組みが、地元企業による仕事おこし、地域経済の活性化へとつながる‐飯田市が目指す環境文化都市の施策展開が実を結びつつあります。
全国商工新聞(2012年1月23日付)
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